高血圧発症は、胎生期・乳幼児期環境の影響を受けると考えられている。欧米の先行研究では、母体血中n3系多価不飽和脂肪酸構成比率の低下が子どもの血圧上昇と関連することが報告されているが、わが国では全く検証されてこなかった。本研究により、男児では、妊娠中期の母体血中飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸の高値群は、低値群と比較して、7-8歳時点の収縮期血圧が高い傾向を示し、この関連は、子どものBMIや食塩摂取量など既知のリスク因子から独立した関連であることが示めされた。高血圧発症に関与する胎生期要因の一つとして、妊娠中の母体血中脂肪酸について検討を行ううえで、基盤となる情報が整理された。
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