本研究は、身体症状を持つ成人に対する認知行動療法プログラムを開発し、認知行動療法にアクセスが難しい地域に暮らす場合や外出が困難な者に対し、ICTを介した遠隔認知行動療法の実現可能性および有効性を検証することを目的としている。 身体症状症患者10名を対象に、1回50分、週1回で計6回のビデオ会議システムを介した遠隔認知行動療法を実施した結果、安全に実施可能で介入後には主要評価項目である身体的QOL(SF-36-PCS)に有意な改善が認められた。次に、身体症状症患者向けにセルフヘルプで取り組むことができる低強度のインタ―ネット認知行動療法プログラム(iCBT)を開発した。加えて、慢性緊張型頭痛を有する20歳から50歳の労働者を対象に6週間のインターネット認知行動療法と心理教育のランダム化比較試験を実施した結果、主要評価(疼痛)では有意差は認められなかったが、両群ともに前後比較では主要評価が介入後に有意に減少し、症状改善が示唆された。
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