研究課題/領域番号 |
20K23292
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
黒田 真由美 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (80880955)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | ロボット / 小児 / リハビリテーション / 運動機能障害 / ロボットスーツHAL / ロボティクストレーニング / ロボットトレーニング |
研究実績の概要 |
本研究では,運動機能障害を有する幼児期の小児慢性疾患患者を対象として,装着型ロボットを用いたトレーニングを施行し,歩行能力,運動機能,日常生活活動における介入効果について検討することを目的とした。本研究で使用するロボットは、装着型動作支援ロボットであるロボットスーツHAL(以下HAL,CYBERDYNE社製)とした。HALは,装着者の意図に合わせて随意運動を支援する機構を有する。小児慢性疾患により生じた運動機能障害は永続的であり,上位中枢神経障害による痙縮や筋力低下に伴い歩行障害などを呈する。脳性麻痺を始めとした小児慢性疾患では,乳幼児期早期からのリハビリテーション介入が重要とされている。HALはこれまで,脳卒中や脊髄損傷など成人患者を対象にリハビリテーションに用いられ,HALを使用したトレーニングによる運動能力の向上が報告されている。このことより,成長発達過程の小児では,ロボティクストレーニングの更なる効果が見込めるのではないかと考えた。 これまでに,3~15歳の小児慢性特定疾患患者(脳性麻痺,脊髄梗塞,急性脳症)5名に対しHALを用いた計12回のロボティクストレーニングを実施し,介入前後での歩行能力,運動機能,日常生活における変化について検証した。その結果,介入後の歩行速度や粗大運動能力に向上を認めた。更に歩行耐久性の向上,更衣・入浴動作での立位支持性の向上などロボティクストレーニング実施後のこどもの日常生活おける変化を認めた。個別の課題では、幼児期に対する介入の場合、児のモチベーションに日格差を認め、成人と比較しトレーニング量が一定となりにく事が挙げられた。これまでに得られた結果については,学会発表や症例報告にて成果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ロボットの機体修理により、介入を中断する期間があったこと、新型コロナウイルスの影響により、研究協力者の通院や入院の調整が困難であった事が原因として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
幼児期の小児へロボティクストレーニングの効果を探る中、こどもが楽しんでトレーニングを行える環境づくりが課題となり、焦点化して取り組む必要性が生じた。装着型ロボットであるHALの利点を生かし、歩行トレーニングのみならず階段昇降や立位でのボール蹴りなど様々な運動やアクティビティを取り入れたトレーニング内容を再構築していく。 また、国内の新型コロナウイルス感染状況を鑑みながら、夏休みや春休みなどこどもが研究に参加しやすい期間に集中的に実施するなどの対策をとり、症例数を増やしていく。 研究内容については、国内外のリハビリテーション、小児関連の学会において、研究成果を積極的に公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により当初予定していた症例数について介入を施行出来なかったため、電極や記録媒体など介入時仕様物品の購入費について余剰が生じた。 次年度は、介入時必要物品の購入、解析ソフトの購入、学会参加費、論文投稿費等に使用していく予定である。
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