本研究は、有酸素性トレーニングによるadropin分泌の増大が動脈血管に及ぼす影響の作用機序の検討を目的とした。本研究の結果から、肥満糖尿病モデルマウスにおける大腿動脈血管におけるadropinの事前投与はインスリン誘発性の血管拡張能を改善させることやadropin遺伝子欠損マウスにおいて生体内のadropinが動脈硬化の悪化と関係しており、肥満や糖尿病による動脈硬化度の増大をadropinが減弱することが明らかとなった。したがって、有酸素性トレーニングの実施による生体内のadropin分泌の増大は、動脈硬化の新たな治療目的となる可能性が示唆された。
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