研究課題/領域番号 |
20KK0014
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
廣田 勲 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50572814)
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研究分担者 |
横山 智 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30363518)
津田 智 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (50212056) [辞退]
石田 卓也 広島大学, 先進理工系科学研究科(総), 助教 (70759571)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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キーワード | 環境と生業の連動性 / 複合生業 / ファイヤーエコロジー / 焼畑農業 / 多様な自然資源 / 環境のヘテロ性 |
研究実績の概要 |
本研究は、東南アジア大陸山地部の高い生物多様性と歴史的に行われてきた自給的生業活動の関係性を明らかにすることを目的としている。昨年度に引き続き、日本の焼畑地において火入れ時の温度の動態、土壌分析、埋土種子の分析を行い、現地調査のための予備試験を実施した。また本年度から海外渡航が容易となり、カウンターパート機関であるラオス国立農林業研究所との連絡、業務調整を実施したのち現地調査を2回実施した。1回目は共同研究者メンバー全員でラオス北部山地部において調査村の選定を行い、調査村をラオス北部ルアンパバン県ゴイ郡の村落とした。世帯や焼畑の基本的情報を収集した。2回目は植生や有用植物についても簡易的に情報を収集し、また焼畑地の土壌サンプルの採取を行った。生業のヘテロ性については、村落がヘテロな環境をどのように活かしそれがどのようなベネフィットとなっているのかの検討を開始した。環境のヘテロ性については、土壌については、日本での結果から土壌が持つもともとのばらつきによって火入れによる土壌養分動態の変化を特定することは困難であったため、本研究では、植物生長の制限要因となるリンについて、リン酸酸素安定同位体比を用いてその変化を特定することを試みた。その結果焼畑後の土壌ではリン酸酸素安定同位体比が低下することが明らかとなり、リン酸酸素安定同位体比が火入れの影響を特定するためのツールとして有用であることを示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、本課題開始後はじめて現地調査を実施することができた。これまで日本の焼畑地で予備的な試験を行っており、温度動態や土壌については知見が蓄積されつつある。また焼畑に関する文献調査も進んでいる。ラオス北部山地部農村における調査は、調査村選定、村落の世帯や焼畑の実施方法に関する情報、植生や土壌の基礎的情報が得られており順調である。現地調査は始めたばかりだがこれまでの国内の活動からの成果は出始めている。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査をより進める予定である。対象村での調査を実施する。村の領域の地図を作成し、焼畑によって形成されてきた植生のモザイクの分布を明らかにする。植生調査と有用植物の調査を実施し、これと対応させる。また焼畑前後での植生や土壌の変化を追跡する。文献調査についても引き続き実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、現地調査を実施することができなかった。次年度は海外渡航が健全化されているため、通常の使用予定に戻る。
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