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2021 年度 実施状況報告書

人類学における芸術研究の刷新:イメージ人類学の創成に向けた国際共同研究基盤の強化

研究課題

研究課題/領域番号 20KK0017
研究機関国立民族学博物館

研究代表者

吉田 憲司  国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 館長 (10192808)

研究分担者 柳沢 史明  西南学院大学, 国際文化学部, 講師 (10725732)
緒方 しらべ  京都精華大学, 未登録, 講師 (10752751)
亀井 哲也  中京大学, 現代社会学部, 教授 (60468238)
研究期間 (年度) 2020-10-27 – 2025-03-31
キーワードイメージ / 人類学 / 芸術 / 先住民 / 博物館
研究実績の概要

本研究は、博物館人類学の国際的2大中核研究拠点であるカナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学の人類学博物館(MOA)と我が国の国立民族学博物館(民博)の間での国際共同研究を加速・強化し、それぞれのもつ研究の蓄積と学術資源を統合して、イメージの動態とそれが生み出す人間の経験のありかたを明らかにする「イメージ人類学」とも呼びうる研究領域を創成して、人類学における芸術研究の刷新を図ることを目的としている。
計画2年目にあたる令和3年度も新型コロナウイルス感染症の世界的流行が収束することはなく、日本側研究者のカナダへの渡航、および共同研究の対象として想定しているアフリカでの共同調査を実施することはできなかった。
しかし、短期間ながら、MOAから1名の研究者を受け入れ、オンラインモも併用して共同研究集会を開催し、日加両機関における芸術とその表象に関する研究状況を検証した。両機関の間では、その後もオンラインで緊密な連携をとり、とくに先住民の芸術活動に関する研究の進捗の成果を共有した。また、令和3年4月に開催された民族藝術学会第37回大会シンポジウム「「プリミティヴィズム」再考」では、日本側の研究代表者および研究分担者の4名全員が登壇し、人類学における芸術研究の刷新に向け、「プリミティヴィズム」や「プリミティヴアート」という概念および観点を再検討した。その成果は、令和3年度末に民族藝術学会誌『arts/ 』にて「特集「プリミティヴィズム」再考」として公刊している。そこでの議論は、人類学における芸術研究を、「プリミミィヴ・アート」の研究、すなわち西洋が「プリミティヴ」と規定してきた社会の芸術活動の研究から解放し、より広い「イメージの世界」の研究へと転換を図る上での基礎を固めるものとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画2年目にあたる令和3年度は、依然として新型コロナウイルス感染症の世界的流行が続いたために、当初の計画通りにカナダおよびアフリカへ渡航して共同研究・共同調査ができる状況ではなかった。
しかし令和3年度中に、短期間ながら、MOAから1名の研究者を受け入れ、オンラインも併用して共同研究集会を開催した。さらに、日本側の研究代表者および研究分担者4名全員が民族藝術学会のシンポジウム「「プリミティヴィズム」再考」に登壇し、人類学における芸術研究の刷新に向け、「プリミティヴィズム」や「プリミティヴアート」という概念および観点を再検討し、その成果を民族藝術学会誌『art/ 』Vol.38にて特集として発表することができた。一連の活動は、「イメージ人類学」の理論的枠組みの構築に向けた大きな一歩であったと位置づけられる。

今後の研究の推進方策

令和4年度となり、新型コロナウイルス感染症の収束はまだ見通せないものの、カナダを含め、欧米各国では、渡航制限の緩和の動きが見られるようになった。一方、共同調査委対象となっているアフリカ諸国への外務省発出の感染症危険情報は依然レベル3のままで、渡航の目途はたっていない。
令和4年度前半は、民博とMOAとの間でオンラインでの共同研究を定期的に実施し、これまでのそれぞれの機関での研究の蓄積をもとに、「イメージ人類学」の理論的枠組みの構築を進める。また、カナダにおいては、カナダ北西海岸先住民、日本ではアイヌ民族の芸術活動についての調査をそれぞれの国内調査として実施し、先住民の芸術活動についての知見を蓄積したうえ、やはり共同研究会を通じて、比較分析を進める。
令和4年度後半は、感染症状況を見極め、カナダ、日本での対面での共同研究活動を通じて当該課題についての理解を深めると同時に、アフリカでの現地調査も実施する。このようにして順次蓄積した知見を、共同研究会や総括シンポジウムで総合し、最終的に「イメージ人類学」の創成を実現する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の世界的拡大の影響で海外渡航制限があり、カナダおよびアフリカ諸国での現地調査ができなかったため。令和4年度は、状況が落ち着き次第、海外現地調査に赴く予定であり、旅費として使用する。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [国際共同研究] Museum of Anthropology, UBC(カナダ)

    • 国名
      カナダ
    • 外国機関名
      Museum of Anthropology, UBC
  • [雑誌論文] Creating Festivals,Revitalizing Communities:Ongoing Cultural Movements in Zambia2022

    • 著者名/発表者名
      Yoshida, Kenji
    • 雑誌名

      Senri Ethnological Studies: Heritage Practices in Africa

      巻: 109 ページ: 209~219

    • DOI

      10.15021/00009921

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 「プリミティヴィズム」再考2022

    • 著者名/発表者名
      吉田憲司
    • 雑誌名

      民族藝術学会誌 arts/

      巻: 38 ページ: 20~29

    • 査読あり
  • [雑誌論文] サリー・プライス再考2022

    • 著者名/発表者名
      柳沢史明
    • 雑誌名

      民族藝術学会誌 arts/

      巻: 38 ページ: 40~47

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 21世紀の「プリミティヴアート」:日本における展示・販売と生活の場からの一考察2022

    • 著者名/発表者名
      緒方しらべ
    • 雑誌名

      民族藝術学会誌 arts/

      巻: 38 ページ: 48~59

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 特集「プリミティヴィズム」再考:イントロダクション2022

    • 著者名/発表者名
      亀井哲也
    • 雑誌名

      民族藝術学会誌 arts/

      巻: 38 ページ: 7~19

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 特集「プリミティヴィズム」再考:コメントへの応答2022

    • 著者名/発表者名
      亀井哲也(編)
    • 雑誌名

      民族藝術学会誌 arts/

      巻: 38 ページ: 70~74

    • 査読あり
  • [雑誌論文] アフリカからアートを売り込む 序文にかえて2021

    • 著者名/発表者名
      柳沢史明
    • 雑誌名

      アフリカからアートを売りこむー企業x研究ー

      巻: 1 ページ: 11-23

  • [雑誌論文] 植民地状況下のアート――ダオメ王国文化とツーリストアート2021

    • 著者名/発表者名
      柳沢史明
    • 雑誌名

      アフリカからアートを売りこむー企業x研究ー

      巻: 1 ページ: 115-135

  • [雑誌論文] アートに価値を見出すということ――アフリカの生活世界におけるアートから考える2021

    • 著者名/発表者名
      緒方しらべ
    • 雑誌名

      アフリカからアートを売りこむー企業x研究ー

      巻: 1 ページ: 159-187

  • [雑誌論文] 仮面と身体2021

    • 著者名/発表者名
      吉田憲司
    • 雑誌名

      学鐙

      巻: 118(4) ページ: 6-9

  • [学会発表] 「プリミティヴィズム」再考2021

    • 著者名/発表者名
      吉田憲司
    • 学会等名
      民族藝術学会第37回大会(中京大学オンライン開催)
  • [学会発表] サリー・プライス再考:「プリミティヴ・アート」の表象をめぐって2021

    • 著者名/発表者名
      柳沢史明
    • 学会等名
      民族藝術学会第37回大会(中京大学オンライン開催)
  • [学会発表] 21世紀のプリミティヴアート:日本における展示・販売と生活の場からの一考察2021

    • 著者名/発表者名
      緒方しらべ
    • 学会等名
      民族藝術学会第37回大会(中京大学オンライン開催)
  • [図書] 民族藝術学会誌 arts/ vol.382022

    • 著者名/発表者名
      民族藝術学会(編集)
    • 総ページ数
      189
    • 出版者
      民族藝術学会
    • ISBN
      978-4-910067-09-4
  • [図書] アフリカからアートを売りこむー企業x研究ー2021

    • 著者名/発表者名
      柳沢史明・緒方しらべ
    • 総ページ数
      239
    • 出版者
      水声社
    • ISBN
      978-4-8010-0582-2

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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