研究課題/領域番号 |
20KK0025
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
栗崎 周平 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (70708099)
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研究分担者 |
岩波 由香里 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (40635447)
広瀬 健太郎 新潟県立大学, 国際地域学部, 准教授 (90764738)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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キーワード | 核抑止 / 核戦力 / ゲーム理論 / 核軍縮 |
研究実績の概要 |
当初の計画どおり、研究代表者である栗崎が2021年度8月からスタンフォード大学に長期滞在し本格的な研究が稼働を始めた。しかしながら2021年9月から海外研究協力者であるスタンフォード大学のJames Fearon 教授が米国バイデン政権下の国防総省にて補佐官に任命され、そしてカリフォルニア大学バークレー校のRobert Powell教授が12月に逝去されたため、当初予定していた3名の代表的な研究者のうち2名が本研究から離脱することになった。 他方で、研究代表者(栗崎)が所属するスタンフォード大学のCISACでは、核兵器をめぐる研究者(政治学、歴史学、工学、実務経験者、技術者)が多数在籍し日々の意見交換や毎週のセミナーを通じて、多様な角度からの核兵器をめぐる諸問題を中心とした国際安全保障問題について議論をする機会に恵まれている。こうした中で当初の研究課題であった「核兵器による報復攻撃に基づかない核抑止戦略」に関する理論モデルの開発に着手し、その中核となるアイディアを論文("Leadership Targeting in Nuclear Deterrence Theory: Its Ethics and Strategy")としてまとめスタンフォード大学で開催された Revisiting Nuclear Ethicsと題された研究会議で報告した。基本的なアイディアは、昨今の科学技術の進展(精緻誘導・リモートセンシング・低火力などの革命)などと称される一連の軍事技術が、核兵器に依存しない核抑止戦略を実現可能のものとし、従来の核戦略に伴う非人道性(大量破壊や放射能や無差別攻撃)を回避できる一方で、しかしながら従来の核戦略が達成した政治・軍事目標を技術的には達成できることを確認しつつ、従来の核抑止戦略と同等のロバストネスとクレディビリティーを達成する数学的構造を持つこと示すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 上述の通り、当初の計画通りスタンフォード大学での研究をスタートさせ、また内部での審査を通り1年間延長し、2年間の長期滞在が許可されたこと、スタンフォード大学における研究環境により核抑止や核軍縮についての理論的な側面のみならず実務および科学技術の双方の側面で飛躍的に情報を処理することができていること、そして具体的な成果としての核兵器に依存しない核抑止戦略についての理論モデルの開発が成功裡に進んでいることが、進捗判断の好材料としてある。他方で、前述の通り主要な研究協力者であったフィアロン教授がバイデン政権入りしたこと、パウエル教授が逝去したことにより、研究代表者自身の研究のみならず他の著名な政治学者を巻き込んで大きな研究ムーブメントを作るという方向では進展が見られない。ただし、これについてはスタンフォード大学のScott Sagan教授と相談しながら別の形での研究の機運を起こしていく方策を検討しているところにある。
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今後の研究の推進方策 |
この研究課題の一丁目一番地である「核兵器に依存しない核抑止戦略」の理論モデルを完結し、これを政治学の著名な雑誌に掲載することを至上命題として、そこに注力をしていく。その上で、この理論モデルの政策的インプリケーションを高めていくために、中核となるLeadership Punishment Strategyに関する理論モデルに加えて、No First Use Policy のモデル分析にも着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度までの累積の未使用残高が750万円ほどある。これはコロナ禍での日本国政府の渡航制限により国際共同研究を行うための海外の研究者の日本への招聘事業が延期していることによる。渡航制限が解除されたのちに然るべき準備期間を経て招聘事業を再開する際に使用する計画である。
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