研究課題/領域番号 |
20KK0039
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
賽漢卓娜 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (20601313)
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研究分担者 |
矢元 貴美 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 講師 (40830089)
高畑 幸 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (50382007)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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キーワード | 移民 / 女性 / ジェンダー / 家族 / アフターコロナ / グローバルモビリティ |
研究実績の概要 |
本研究では、とりわけ移民女性に注目し、COVID-19のパンデミック状況での移民の身体管理、トランスナショナルな世帯の維持、親密性の再構築を究明し、アフター・コロナにおけるグローバルモビリティ研究の再構築を目指すものである、本研究は、移民研究における分析概念としての、エスニシティ、階級、ジェンダーの関連性に力点を置く。その際、マイノリティとして周辺化された存在としての移民ではなく、主体的行為者としての移民という視点で研究を再構築するために、日常の生活世界を捉え直すことが重要である。具体的に取り上げる軸は、経済状況、国際結婚の選択や生活などのような家族、移民に対するNPOの役割の変化、アフター・コロナの国家の健康セキュリティの質と水準が国際移動に与える影響である。 国内調査のほか、海外では3回の調査及び現地の協力研者を含めた研究者らとの交流(中国・山東、フィリピン・マニラ、ベトナム・ホーチミン)、国内では年1回の現地調査(東京、名古屋、長崎、鹿児島)を行い、最終的にシンポジウムでの発表及び報告書作成を予定している。随時Zoom会議等を活用して国内外の研究メンバーと密接にコミュニケーションをとる。 2020年度は5か年の研究期間の初年度であり、先行研究ほか参考文献、方法論に関する文献等の共有も視野に、移民女性のアフターの生活世界における各国の現況、これに関する学術的・政策的動向について議論し、かつ、各自の研究経験にもとづく調査を設計し、海外協力者の準備体制など実施計画をすることとしていた。新型コロナが終息を見ないなかで、流動要素はあるものの、次年度以降の研究方針を決定し、また名古屋における移民団体とコロナ禍の中帰国できない外国人労働者を受け入れた宗教関係者へのインタビュー調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者及び研究分担者で、先行研究ほか参考文献、方法論に関する文献等の共有も視野に、移民女性のアフターコロナの生活世界における各国の現況、これに関する学術的・政策的動向についてwebを通じて議論し、かつ、各自の研究経験にもとづく調査を設計し、海外研究者との連絡を取り準備を始めた。 新型コロナが若干収まっていた2020年12月に、感染リスクについて十分注意しながら、研究代表者及び研究分担者が名古屋で打ち合わせを実施し、またフィリピン人の自助組織の代表者、主としてベトナム人に生活拠点を提供している仏教関係者に対し、インタビュー調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、研究分担者は、日本・鹿児島のフィリピン系移民女性の調査を行う。新型コロナの状況から見て、現地における対面調査は慎重な判断の上で行うものとし、調査方法を検討した上、webの活用、翌年度以降での実施等を検討する。 研究代表者は2021年度は北京を中心とする中国における海外研究を行うことになっており、北京での海外研究者との意見交換等の共同研究、海外移民〔中国で就労する日本人を含む〕、移民家族〔高齢親を含む〕の聞き取りを実施する。中国・山東省で実施する海外就労経験者、留守家族等のヒアリングを実施する予定であり、海外共同研究者の胡 源源に調査とクロストークの機会と場所を提供する予定である。さらに、内モンゴル自治区・呼和浩特市、遼寧省・大連市(日中間の移民)の調査を実施する予定である。 コロナが劇的に改善すれば、高畑、矢元は中国・山東省で合流して共同調査を実施することも検討する。 新型コロナによる国際移動状況を踏まえつつ、2022年以降フィリピン、ベトナムとの共同研究を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの拡大により、移動、インタビュー調査の範囲が制限されており、旅費、人件費を中心に、予算よりも使用額が少額にとどまった。具体的には、令和2年度は、国内調査費、人件費、謄写費、通信費などの予算に余剰が生じている。 令和3年度も国内旅行費、国外調査費(マニラ)、人件費謝金、車両の借上げ費等を予定していたところであるが、研究代表者が北京における海外研究に従事しており、コロナの状況で国際移動が困難になっている状況にある。そのため、国外調査費は令和5年度に予定していた中国を前倒しして中国にいるところから範囲を広げて実施し、国内分担者はコロナの感染状況を見ながら、国内における調査を実施する予定である。令和2年度の専門知識の提供、研究補助については、令和3年度以降に使用を予定している。
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