研究課題/領域番号 |
20KK0054
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
錢 昆 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 助教 (60736354)
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研究分担者 |
氏家 悠太 中京大学, 心理学研究科, 特別研究員(PD) (60781789)
高橋 康介 中京大学, 心理学部, 教授 (80606682)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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キーワード | 認知心理学 / 文化心理学 / 文化比較 / フィンランド / フィールド実験 / 錯視 / 顔認知 / 多感覚 |
研究実績の概要 |
本研究は令和2年11月に採択通知が届き,採択後いち早く研究の遂行に着手した。また,本研究種目の性質上,当初は長期間の海外渡航を予定していたが,新型コロナウイルス感染症流行の影響により,当初の研究計画を迅速に見直し,実施できるように修正と調整を行った。当初予定していた年度内でのフィンランド渡航を中止し,ヘルシンキ大学の共同研究者との研究キックオフミーティングをオンラインで実施した。その後,メールやslackなどのコミュニケーションツールを通じた意見交換や進捗報告を随時に行い,実験室・オンラインベースの実験研究に取り組み,計画以上の進展が実現できた。 計画していたフィンランドでの実験室実験をオンライン実験に切り替え,実験テーマの選定と実験用機材・プログラムの準備に着手し,次年度の早い段階で実験実施できるように調整を進めている。渡航中止により,代表者をはじめ,日本側の研究者がフィンランドで行う実験室・フィールド実験は当面難しいが,タイムロスを補う方策をフィンランド側の研究者と連携して検討している。一方で,研究計画に記入された,採択後すぐ実施可能な日本での実験室実験は,いわゆるコロナ禍による様々な困難を乗り越え,予定通りに実施し,査読付き論文1件との研究成果を収めることができた (Qian & Mitsudo, 2020)。 上記のように,海外との連携研究活動を中心とした本研究は,新型コロナウイルス感染症流行から大きな影響を受けたが,科研費の有効活用のため,感染症流行状況下における人間の心理・行動に関する研究にも積極的に取り組み,本研究採択以降の短時間においては1編の査読付き論文を公表した (Qian, Javadi & Hiramatsu, 2020)。これからもコロナ禍による世界的影響を文化比較のテーマに収め,感染症に立ち向かう社会に貢献できるような研究を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は令和2年11月に採択通知を受けたが,採択されてから年度末まではわずか5ヶ月の期間しかなかった。また,新型コロナウイルス感染症の世界的大流行は,国際共同研究の実施に大きな挑戦をもたらした。しかし,感染症流行の状況に鑑み,採択後直ちに研究計画の見直しと調整を実施し,見通しの立たない海外渡航を延期し,海外の共同研究者とのミーティングと日常的な意見交換をいち早くオンライン化して,感染症の影響を最小化した。日本での実験室実験も予定通りに実施し,査読付き論文の研究成果を収めた。それに加え,感染症流行に特化した研究を新たに実施するなど,科研費の有効活用のための研究を機動的に遂行し,さらに査読付き論文1編が公表され,当初の計画を上回る研究業績を収めた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度以降は,新型コロナウイルス感染症流行の状況に鑑み,日本側とフィンランド側の研究者が臨機応変に検討・対応し,本研究を推進する予定である。まず,現在検討中のオンライン比較実験を令和3年度前期に実施できるように準備を進めている。その結果と,年度後半の感染症状況に応じて,今年度の渡航とフィンランドでの実験室実験・フィールド実験について議論する予定である。年度後半になっても日本側の研究者が渡航困難と判断される場合は,研究の全体進捗に支障をきたさないように,フィンランド側の研究者による実験室実験・フィールド実験ができるように方針を調整する予定である。また,それに応じる研究計画とスケジュールの調整も視野に入れて検討する。 フィンランドでの実験予定は以上だが,日本でのフィールド実験,実験室実験並びにオンライン実験・調査は,これまで通り継続的に行う予定である。感染症流行の状況に応じて随時検討と調整を行い,今年度の研究も計画以上の進展を目指して推し進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症流行により,フィンランドへの渡航は中止になり,次年度以降に延期したため,次年度使用額が発生した。次年度以降のフィンランド渡航及びフィンランドでの実験・研究に使用予定である。
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