研究実績の概要 |
今年度は本研究が本格的に始動し,背景色による顔認知・表情認知への影響,マガーク効果,HSP傾向と錯視の見え方の関連性との3つのプロジェクトを立ち上げ,代表者と分担者がそれぞれのプロジェクトをリードして進めている。新型コロナウイルス感染症流行が収束しない中,当初予定していたフィンランドへの長期間渡航並びに,渡航期間中の実験室実験・フィールド実験が停滞しているが,その代わりにオンラインミーティングや,Slackでの細かい進捗報告と意見交換を行い,研究を順調に推進している。また,本来フィンランドに渡航して行う実験室実験は,現地の研究者を短期雇用して実施することができた。日本でのフィールド実験は,2021年11月に山陰・甲信越地方で,2022年1月に四国地方で実施できた。また,日本チームでの対面の研究会は2021年11に対面で開催することができた。 全てのプロジェクトは現在日本とフィンランドでデータサンプリングを行い,比較調査・実験の結果は次年度以降に公表する予定だが,今年度は代表者がコロナ禍という社会状況下における心理・行動に関連する論文1件(錢, 2022)と学会発表2件,絵画・画像の認知処理に関する論文2件(三浦・錢, 2021; Suzuki, Kashiwagi, Lee, Qian, & Ikeda, 2022)のほか,フィールド実験に関する雑誌記事やマルチラボ実験の論文 (Bago, et al., 2022) が掲載された。さらに分担者はマガーク効果や視聴覚統合に関して論文5件(Ujiie & Takahashi, 2021a, 2021b, 2022a, 2022b; 高橋・氏家, 2021)が掲載され,計画以上の研究業績を収めることができた。次年度はコロナ禍の状況を注視しつつ,フィンランドに渡航し現地での実験ができるように調整を進めたいと考えられる。
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