研究課題/領域番号 |
20KK0135
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
澤 進一郎 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (00315748)
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研究分担者 |
Tsai YiーLun (ツァイアレン) 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 助教 (10761687)
新屋 良治 明治大学, 農学部, 専任准教授 (30802798)
門田 康弘 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (80548975)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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キーワード | 植物感染性線虫 / リガンド / 受容体 |
研究実績の概要 |
植物感染性線虫の農業被害は、年間数十兆円と試算されている。本研究では、植物感染性線虫の感染機構において、植物の線虫誘引活性に注目し、植物と線虫の相互作用に関する研究を展開する。我々は、これまでに、サツマイモネコブセンチュウの植物誘引物質を複数単離してきており、受容体候補も得ている。本申請研究では、多くの線虫類のゲノム情報を用いて、誘引物質ー受容体の組合せに関する情報量を増やし、そのバリエーションについて網羅的に理解することを目的としている。 2022年度は、サツマイモネコブセンチュウの形質転換にVISUAL法をもちいた培養法を組み合わせ、試験した。VISUAL法と組み合わせた場合、葉の中で線虫の発生が進む場合、まわりの植物組織がカルス化することがわかった。また、このカルスの中の線虫を形質転換は技術的に困難である事がわかった。 一方、植物感染性線虫の受容体候補について、その機能を調べるために、C.elegansを用いた実験系を検討した。この実験系では、植物感染性線虫の誘引物質の受容体候補をC.elegansに導入し、C.elegansが、その植物感染性線虫の誘引物質を認識出来るようになるか試験する、というものである。これまでに、どのような誘引物質がC.elegansでも有用か、その候補についてピックアップした。 また、2022年度には、フランス側の研究者を招聘し、国際シンポジウムの開催と、共同研究の実施も行い、国際交流の活発化を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度には、相手国側受入教員のBruno Favery博士を熊本に招き、共同研究打合せを行うと共に、国際シンポジウムにより日仏間の研究者コミュニティーの交流を行った。また、共同研究の推進により、誘引物質・忌避物質の精製などが進展した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の大きな目的の1つである国際研究交流として、研究代表者澤と共同研究者の門田・新屋が渡仏し、研究打ち合わせと共同研究の実施を行う。 特に、フランス側は、線虫誘引活性の評価に、特殊なスライドガラスを用いた評価系を利用していることから、その評価系について学び、日本側でもその技術が使えるようにし、新たな線虫行動評価系を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度には、フランスISA, コードダジュール大学に赴き、共同研究を実施する予定であったが、海外出張ができなかったため、その旅費とそれに伴う消耗品の支出ができず、繰り越しを行った。 2023年度は、5月にフランス出張を行い、共同研究を進める予定である。2023年度には、フランスで十分な時間をとり、共同研究を進める予定である。また、オンラインで議論しつつ、共同研究は進めており、2023年に線虫誘引物質の単離に関して共著での論文報告を行なった(Oota et al., 2023)。2023年度では、この論文報告に関する結果をさらに深掘りし、線虫の受容体の候補の絞り込みや、線虫の形質転換系の確立もすすめる。
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