研究課題/領域番号 |
20KK0174
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
和田 洋一郎 東京大学, アイソトープ総合センター, 教授 (10322033)
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研究分担者 |
桧垣 正吾 東京大学, アイソトープ総合センター, 助教 (50444097)
巽 俊文 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特別研究員 (80868232)
野村 幸世 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70301819)
熊倉 嘉貴 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90517773)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2023-03-31
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キーワード | α線放出核種 / 核医学治療 / アクチニウム |
研究実績の概要 |
短寿命α線放出核種の核医学治療への応用が急務である。本研究では、①短寿命α線核種の効率的な製造・精製技術の開発、②α線核種を用いた医薬品標識技術開発、③α線核種を高速かつ安全に精製・標識する計測制御システムの開発、を実施することによって、今後爆発的に進展することが予測されるα線医薬品開発を推進して画期的な創薬に貢献する。 α線放出核種のうち、半減期が7.2時間であるアスタチン-211と半減期が10日であるアクチニウム-225は、所謂“短寿命”α線放出核種と呼ばれ、体内において疾患細胞の殺傷効果を発揮したあと、急速に消失することから、ヒトにおける核医学治療に適している。近年サイクロトロンによるビームラインを用いた核反応による製造方法が確立し、治療法の開発競争が始まっている。アスタチン-211は、半減期が短いものの、国内加速器施設、小型サイクロトロンによって製造、生成することが可能であり、製造直後にドラッグデリバリーシステム(DDS)に標識することで臨床機関での使用が可能となるが、ハロゲン族元素であることから、DDS標識の化学反応が必要となる。一方でアクチニウムは金属元素であり、比較的シンプルで効率的なキレート剤による標識が可能である。しかしながら製造に必要なウラン-233やトリウム-229は使用済み核燃料に含まれるため国内に在庫が無く、海外加速器施設との共同研究で製造する必要がある。既にTRIUMF(バンクーバー、カナダ)との連携、共同研究を行っており、補助事業期間中定期的に研究者が駐在して核化学反応と精製方法の効率化について共同研究を進めると共に、核種を所属施設に譲受したうえで、DDSに標識し、動物実験を行うことによって新しい放射性医薬品のコンセプトを実証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在連携研究機関であるTRIUMF(バンクーバー、カナダ)との人的交流に支障がある。そこで、リモート会議、シンポジウムなどを実施して情報のアップデートを進めている。初年度の綿密な打合せと環境整備に続いて、令和3年度は225kBqのアクチニウム-225をカナダから空輸した上で、研究代表者の所属する研究施設内において標識、担癌マウスを使った動物実験を行った。具体的には、前立腺がんに結合するペプチドへのキレート剤修飾と、これによるアクチニウム-225修飾及び胃がん細胞に結合する抗体へのキレート剤修飾とこれによるアクチニウム-225修飾の条件を検討することができた。加えて、マウスへの静注により動物実験に必要な放射線量の検討が可能となった。当該実験によって、輸送方法、標識手順、動物実験の工程を一通り実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
近年動物実験においてα線医薬品の有用性が確認されて以来、現在核医学治療(RI内用療法)の開発が急速に伸展している。半減期が10日であるアクチニウム-225は、所謂“短寿命”α線放出核種と呼ばれ、体内において疾患細胞の殺傷効果を発揮し、急速に消失することから、ヒトにおける核医学治療に適している。アクチニウムは金属元素であり、キレート剤による結合が可能である点で標識反応が容易となる長所を有しており、有用である。しかし加速器による製造に必要なターゲットが国内にない。 令和3年度にはアクチニウム-225を用いた実験を一通り実施することにより、新規核種を使った研究計画を精緻化することが可能となった。一方当初本研究では研究員がカナダに常駐して共同研究を推進する予定であったが、パンデミックの状況は依然予断を許さない。そこで、今後もカナダで製造された核種の空輸を繰り返す事によって担癌マウス及び標的分子結合ペプチドや抗体のα線放出核種標識によるがん細胞致死効果の実証実験を継続し、アクチニウム-225の有用性を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度と二年度目に予定していた人的交流が、新型コロナウイルス感染の拡大による出入国制限によって実施できなくなったため。
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