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2022 年度 実施状況報告書

多様性に富むエジプト産の天然資源を活用した難病治療薬の創成

研究課題

研究課題/領域番号 20KK0175
研究機関熊本大学

研究代表者

塚本 佐知子  熊本大学, 大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター, 教授 (40192190)

研究分担者 人羅 勇気  熊本大学, 大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター, 准教授 (00755308)
甲斐 広文  熊本大学, 大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター, 教授 (30194658)
研究期間 (年度) 2020-10-27 – 2024-03-31
キーワード天然資源 / 難病治療薬 / エジプト
研究実績の概要

医薬品の50%は天然資源に由来しているが、特に1981年以降に認可されたがん治療薬に占める割合は63%であることから、創薬研究での天然資源の果たす役割は極めて大きい。そして、今日でも治療薬のない難病は多く、新規医薬品開発の社会的要請は非常に高い。そこで、エジプト産の豊富な有用天然資源を調査・採集し、新興感染症や難病に対する治療薬候補を発見することを目的とし研究を行っている。先行研究として、エジプトの薬用植物から糖尿病や肥満などの生活習慣病に対する改善物質が探索されているが、薬用植物を用いた研究であっても本研究で対象としているがん、骨粗鬆症、感染症、エイズ、アルポート症候群、TTR-FAP、アルツハイマー型認知症などに対する治療薬としての可能性は調べられていない。さらに、薬用植物以外の天然資源である海洋生物や微生物を用いた創薬研究はほとんど行われていない。
2020-2022年度は、コロナ禍のため、研究代表者や分担者によるエジプトでの調査・採集を実施できなかった。そこで、エジプトの共同研究者に採集を依頼し、これまでに成分研究の行われていない植物をシナイ半島で採集してもらった。そして、それら植物のエキスについてスクリーニングし、ヨモギ属植物Artemisia judaicaから、破骨細胞の分化を抑制する化合物として、パーオキシドの架橋構造を有する新規テルペンarteperoxideを単離した(第9回食品薬学シンポジウムでの発表;Phytochemistry 206, 113548, 2023)。Arteperoxideはこれまでに報告されていないタイプの化学構造であったので、有機合成を行い構造決定した。また、エジプトにおける海外共同研究者の代表であるProf. A. El-Beih (National Research Centre) が、当研究室において半年間、抗菌活性を有する真菌の成分について研究を行い、8種類の新規化合物を単離した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍のためエジプトでの採集はできなかったが、エジプトの共同研究者に植物を採集し日本に送ってもらうことができた。そして、学会発表および論文投稿できる成果が得られた。さらに、エジプトの共同研究者が抗菌活性を有する真菌を用いて当研究室で成分研究を行い、新規化合物を単離することができた。以上により、「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

紅海で採集した海綿の成分に関する研究が、現在進行中である。また、エジプトの真菌から単離した抗菌成分については平面構造を決定したが、今後、立体構造を決定する必要がある。

次年度使用額が生じた理由

2022年度はコロナ禍のため、研究代表者や分担者によるエジプトでの調査・採集を実施することができなかった。そのため、次年度使用額が生じた。今年度は、感染状況を考慮しながら、エジプトの天然資源を取集する。そして、難病治療薬の創成を目指す。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Arteperoxides A-C, tris-normonoterpene-sesquiterpene conjugates with peroxide-bridges from Artemisia judaica exhibiting antiosteoclastogenic activity2023

    • 著者名/発表者名
      El-Desoky Ahmed H.、Asano Toshifumi、Maeyama Yuka、Kato Hikaru、Hitora Yuki、Goto Eishu、Kotani Shunsuke、Nakajima Makoto、Tsukamoto Sachiko
    • 雑誌名

      Phytochemistry

      巻: 206 ページ: 113548~113548

    • DOI

      10.1016/j.phytochem.2022.113548

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 破骨細胞の分化阻害作用を示す新規Arteperoxides A-Cの構造と類縁体の合成2022

    • 著者名/発表者名
      Ahmed H. El-Desoky、浅野聡文、前山夕歌、加藤光、人羅勇気、後藤栄舟、小谷俊介、中島誠、塚本佐知子
    • 学会等名
      第9回食品薬学シンポジウム
  • [備考] 熊本大学大学院生命科学研究部附属 グローバル天然物科学研究センター 天然薬物学分野

    • URL

      https://kumamoto-natmed.org

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公開日: 2023-12-25  

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