研究課題/領域番号 |
20KK0220
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
城戸 照彦 金沢大学, 保健学系, 客員教授 (20167373)
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研究分担者 |
中川 秀昭 金沢医科大学, 医学部, 客員教授 (00097437)
八重樫 洋 金沢大学, 附属病院, 助教 (00835275)
溝上 敦 金沢大学, 医学系, 教授 (50248580)
岡本 理恵 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50303285)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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キーワード | ダイオキシン / 二次性徴 / 低体重出生児 / ステロイドホルモン / ベトナム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ベトナム戦争中に散布された枯葉剤に含まれたダイオキシン(DXN)による健康影響を明らかにすることである。研究対象は2008年に出生した約100名(対象地区:Binh Dinh省Phu Cat県〔PC〕、対照地区:Ha Nam省Kim Bang地区〔KB〕、各50名)の児を、これまでに、2011年(3歳)、2013年(5歳)、2015年(7歳)、2017年(9歳)、2022年(14歳)の6回追跡調査を実施した。この間、DXNによるステロイドホルモン(SH)のかく乱(DHEAやテストステロンの低下)を確認した。 2022年9-10月に実施した現地調査では、対象の小児が14歳と二次性徴の時期を迎えていた。両地区の80名より性ホルモンを含む15種類のSH測定のために血液を採取した。血液は冷凍保存し、ハノイまで空輸してベトナム国家大学において、SH分析の予備解析を実施した上で、2023年度にSH測定の結果を得た。現在、データ解析を進めている。 低体重児の出生率について、2020年4月から2023年12月までPhu Cat県内の18コミューン全てで調査し、集計した。その結果、低体重児の出生率は4.4%(低体重児数288人:総出生数6495人)と我々が追跡調査を開始した2008年当時の12%と比べて大幅に低下し、同時期の対照地区の4%に近かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19流行のため、2020年4月以降2年程我々は訪越することが出来なかった。このブランクの穴を埋めるのは決して容易ではなかった。本来は、この間に現地調査を実施し、当初の研究目的の3つの課題すべてを遂行する予定であった。2022年は幸いにして、追跡調査が実施できた。採取した血液中のSH分析の予備解析をベトナム国家大学において開始したが、性ホルモンの測定系を確立するのに予想より多くの時間を要した。2023年度にSH測定の結果を得て、現在解析を進めているが、やや時間を要しており、予想よりやや遅れている。 2023年度には低出生体重児の出生率について、Phu Cat県内のすべてのコミューンから情報を入手できたが、解析にやや時間を要しており、予想よりやや遅れている。対照地区からの情報は未入手で、遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
追跡調査は対象者が高等学校を卒業する2024年までが実現可能な期間である。その後は、出身地を離れて大学に進学して、都市部で就労する者が大半のため、それ以降の追跡は困難になる。これまでは概ね2年毎に追跡調査を実施し、その推移を観察してきた。そこで2024年度にはこれまでの追跡調査結果を調査参加者に現地で直接説明し、現在の発育・健康状態を調べるとともに、今後の生活面での必要な指導を対象者に応じて実施する計画である。 低体重児の出生率については、Phu Cat県内の18コミューンの結果が出たので、地区別の解析とその相違点について検討する予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
これまで概ね2年毎にベトナムでの現地追跡調査を実施し、その推移を観察してきた。Covid-19流行のため、2020年4月以降2年近く訪越することが出来なかった。前回は2022年度に調査を実施しており、2024年度に最終調査を実施する予定であり、そのために必要な経費を次年度に繰り越した。
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