研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
ヘテロクロマチンの機能異常に起因するRNAトランスポゾンの発現上昇と、炎症性サイトカインの産生や細胞癌化の関連性について、TET欠損マウスをモデルとして解析を行った。主たる連携海外研究機関であるラホヤ免疫研究所で実験データを取得し、近隣のカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究協力も得た。研究の結果、TET欠損によりヘテロクロマチンがユークロマチンに変化する領域を見出して、急性骨髄性白血病との関連について論文報告をすることができた。
免疫学とエピジェネティクスおよびその融合分野
ヘテロクロマチン機能不全と疾患発症の関係性を明らかにした報告は少なく、本研究で発表した論文は両者の関係を裏付ける学術的に大きな成果であった。また、ヘテロクロマチンが機能不全を起こす領域にクラスターを形成するStefin遺伝子のヒトにおけるホモログ遺伝子群の高発現は、がん患者の予後に悪影響を与えることが分かった。これらの知見は、Stefin遺伝子群の発現が、がん患者の予後や治療感受性を予測できるバイオマーカーとして使える可能性を示唆し、社会的意義のある研究成果であると言える。