これまで我々は、精子において新規の電位感知機構(VSPによる電位感知機構)が存在することを明らかにし、それが成熟精子の運動制御に関わることを報告していた。この際は、VSPによる成熟精子のイオンチャネル活性の制御に焦点を置いていたが、最近の我々の研究により、VSPの活性にはむしろ「未成熟精子」の電気信号が重要であることが分かりつつある。本研究ではさらに、この「未成熟精子の電気信号」が、膜蛋白質の発現や他の脂質分布の制御にも関わりうることを明らかにしている。この様な知見は、将来的には精子を対象とした不妊治療などにおいても、重要な役割を果たすと考えられる。
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