研究課題/領域番号 |
21242019
|
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
安藤 正人 学習院大学, 文学部, 教授 (90113422)
|
研究分担者 |
武内 房司 学習院大学, 文学部, 教授 (30179618)
加藤 聖文 国文学研究資料館, 研究部, 助教 (70353414)
|
キーワード | 戦争 / 植民地 / 占領地 / 原子爆弾 / 核兵器 / アーカイブズ / 記録 / 情報 |
研究概要 |
(1)「戦争の記憶と記録」チームは、オランダ国立公文書館、オランダ赤十字、オランダ国防省戦史研究所(以上ハーグ)、オランダ国防省蘭印軍博物館(アーネム)において、在オランダ日本軍関係資料および接収資料の所在調査を行ったほか、2012年1月に国際赤十字アーカイブズ(ジュネーブ)を中心に、国際連合欧州本部アーカイブズ、国際連盟アーカイブズ(いずれもジュネーブ)において調査を実施した。またGHQ占領期の日本軍関係資料の海外移動状況の研究を行った。東南アジアでは、2011年12月にベトナム国家記録アーカイブズ局(ハノイ)を訪問し、ホーチミン市の第1文書館において調査を行った。(2)「支配の記憶と記録」チームは、米国のトルーマン大統領図書館およびマッカーサー記念館において、日米戦および日本占領関係文書の調査収集を行った。とくに米国の朝鮮半島および中国を中心とした対アジア政策に関わる個人文書を収集した。この他、朝鮮引揚者を対象とした聞き取り調査、および旧植民地関係の個人文書(今吉敏雄文書・松木幹一郎文書)を収集し、整理の上で目録を作成した。(3)「核時代の記憶と記録」チームは、米国科学アカデミー所蔵ABCC資料デジタル化事業の第2年度を実施した。また2011年10月20日に、学習院大学において国際シンポジウム「核時代の記憶と記録-原爆アーカイブズの保存と活用-」を開催した。この国際シンポジウムでは、ウィリアム・J・シャル博士(テキサス大学名誉教授)、フィリップ・モンゴメリ氏(テキサス医療センター図書館アーキビスト)のほか、本科研メンバーの高橋博子(広島市立大学広島平和研究所)が報告を行った。なおデジタル化済みのABCC関係資料の公開方法に関しては、本科研メンバーの前川佳遠理がダニエル・バルビエロ氏(米国科学アカデミー・アーキビスト)およびフィリップ・モンゴメリ氏が、とともに、国際コンソーシアム設置のための研究を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの課題のうち、(1)「戦争の記憶と記録」については、インドネシア、タイ、ベトナムなどについて調査を実施し、占領地関係記録の伝存過程の解明が進んでいる。(2)「支配の記憶と記録」については、米国国立公文書館をはじめとする調査によって、植民地支配に関わる記録の調査が進んでいる。(3)「核時代の記憶と記録」については、米国所在記録を中心とした広島・長崎原爆関係資料の調査が進み、とくに米国科学アカデミー所蔵のABCC資料のデジタル化による収集が成果をあげている.
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は研究計画の最終年度なので、交付申請書に記した計画に従って、各チームとも補充的調査を実施しつつ、研究成果の取りまとめを行う。とりわけ全体の共通課題として、日本の「現代史アーカイブズ」のあり方について、旧東欧諸国等における戦争体験の記録化とアーカイブズ構築の取り組みなどを研究し、実践的なモデルを提言していく。なお、研究期間終了後の研究の推進については、「現代アーカイブズ」への公共アクセスの問題を中心に、科学研究費による新規研究計画の提出も視野に検討しているところである。
|