研究課題
本研究は人材配置の違いが生産性と階層化へ与える効果を包括的に分析することを目的としている。以下、今年度実施した研究の概要について述べる。1. マクロ分析においては、産業別教育のリターンを推計し、IT技術や規制が日本の教育のリターンにどのように影響を与えるのかの分析を進めてきた。現在、推定結果の信頼性を高めるための努力を重ねている。一方、企業間格差の源泉を説明する定量モデルの精緻化も行い、人材の割り当てが企業間格差に与える影響が非常に大きいことが示された。理論的には、企業の分布が教育政策に与える影響や、労働市場の流動性が企業組織に与える影響に関する分析も進めてきた。2. ミクロ分析においては、吸収合併された企業の役員が合併後の役員として残る確率に何が影響を与えるのかを調べている。その中で、暫定的ではあるが、企業に勤めた期間が長いほど合併後も残る可能性は高いが合併後の役員にとどまる期間は短いという結果を得ている。また、企業内部の昇進とローテーションの分析も進められ、ローテーションと昇進のタイミングには正の相関があることや、部長時代に経理や人事を経験することが役員への昇進の確率を高めることが発見された。このことは、企業運営を行う上で重要な資質として、資源配分能力があることを示唆している。理論的には、情報の非対称性が階層的な人材の配置を生み出す可能性についての分析が行われた。3. データ作成作業としては、異なるデータセットをマッチさせる作業を地道に続けてきている。大学の偏差値データをダイヤモンドや役員四季報の個人データにマッチさせる作業、日経ニーズやダイヤモンドに含まれる未上場企業をマッチさせていく作業などである。その他には、役員の企業間移動を補足できるデータ作りや公務員のキャリアのデータ整備を開始した。これらのデータは来年度以降の実証の基礎となるであろう。
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