研究課題
本研究では人材配置の違いが生産性(マクロと企業の生産性)と階層化(人と組織の階層化)へ与える効果を包括的に分析することを企図している。2012年度は下記のような成果を上げた。1.人の配置と生産性:(1)マクロの生産性:①企業特殊熟練習得のための投資インセンティブを引き出すための契約を明示的に考慮にいれた競争サーチのモデルをつくり、GDPを最大にする労働市場がどのような時に達成されるのかを考察した。その中で、企業特殊熟練が生産において重要であるかどうかで、競争的市場環境の是非が変わることを指摘した。②教育と人の配置との関係を分析するために、模試やセンター試験が及ぼす高校生の大学選択への影響に関する分析を開始した。現在、データを購入し、推計モデルのたたき台が出来上がったところである。(2)企業の生産性:社長交代が企業の戦略にどのような変化をもたらすのかの実証分析を行い、社長の交代の直後に雇用の削減が行われやすいが企業のパフォーマンスの向上には貢献していないことがわかった。2.人の配置と階層化:(1)国交省における昇進のあり方をより精緻に分析するため、すべての部長職・課長職を昇進における重要度で色分けを行った。(2)企業が吸収合併された後に勤続年数の長い人が新しい企業で生き残りやすいのか否かを分析するモデルを作り、データを使って検証した。その中で、勤続年数が長い人は、合併後に新しい企業の役員に任命されやすいが、そのまま役員として長く居続けることは少ないことがわかった。このことは、合併後の企業が吸収された企業における特殊熟練を必要としているが、勤続年数が長くなると新しいスキルを学ぶ力が減ってくるという仮説と整合的である。3.データ構築:(1)教員養成校・短大のデータ整備を行い、大学偏差値データの最終整備を行った。(2)国交省のデータ整備の推進および天下りデータの入手を行った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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