研究課題
平成23年度の計画として構想した研究のまとめを遂行し、全体として190頁の報告書を完成させた。6部門それぞれの研究実績を報告書論文のタイトルとともに示す。第1部門:全体研究。戦前期に内務省が専管した行政の諸分野に注目し、戦後内政史を厚生行政、自治行政、警察行政、建設行政の発展過程として総合的に分析した。副田義也「内政史研究の課題」。第2部門:警察庁の社会史研究。とくに政治警察の変容に注目し、戦前と戦後の断絶と連続のなかにおいて警察庁の社会史を描いた。阿部俊彦「特講警察と戦後」。第3部門:防衛庁=自衛隊の社会史研究。戦後内政を模索する過程のなかにおいて、平和維持に役立つ戦力としての自衛隊の可能性を論じた。波内知津「『防衛庁・自衛隊の社会史』展望」。第4部門:自治省の社会史研究。総論、各論ともに深化させ、旧内務官僚の動向、内局組織と政策課題の変遷、地方財政などを論じた。時岡新「戦後初期地方自治制度の構成」、市川紀美「戦後の公営競技と地方財政」、樫田美雄「災害と災害復興の内政史」、他。第5部門:建設省の社会史研究。内政における建設省の位置づけ、建設官僚論、都市計画論など。牧園清子「戦後日本における建設省」、株本千鶴「建設官僚の生態と戦後建設行政」、他。第6部門:厚生省の社会史研究。厚生省の組織、政策の変容から労働省との関係性に至るまで幅広く論じた。藤村正之「厚生省の組織と政策の変容」、村上貴美子「社会保険庁の創設」、加藤朋江「母子手帳・母子健康手帳について」、川上裕子「労働安全衛生行政」、他。さらに、当初計画の域を越えて新たな研究の展開をも果たした。野上元「大霞会の研究」、嶋根克己「経済産業省の新戦略」、鍾家新「内政としての移民行政」。以上、全体として23篇の論考を提出した。