研究概要 |
本研究は作問による学習効果を保証する作問手順(様々ある作問行程の実施順序)の解明と作問支援環境の構築を主要な目的として研究を遂行した.本年度は以下の研究成果を挙げた. 1.作問支援環境の開発 学生への作問手順のアンケート調査やヒアリング結果から,作問時に問題の見直しをすることが,学生が主観的に感じる学習効果(問題を作成することが学習に役立つと感じた度合い.以下,学習効果)を高めることがわかった.また,他学生の良い問題(教員が確認テストの問題として採用した問題)を閲覧するよりも,閲覧しないほうが学習効果を感じる度合いが高かった.さらに,正しい内容を選択する問題を作成させることや,解説に出題意図を記入すること,教科書以外の複数の文献を利用して全選択肢の解説を作成することも学習効果を高める上で重要であることが分かった.しかし,学習効果を高めるある特定の作問手順は明らかにならなかった.そこで,ある特定の作問手順に限定して作問を行わせるのではなく,作問後に他学生が作成した良問の閲覧や,問題の見直し等を促す作問ガイドラインを開発し,作問機能に実装した. 2.作問ガイドラインを利用した作問実験 Collab Testの利用経験のある8名の学生に対して2つの分野の作問(2問)をしてもらった後,作問ガイドラインを提示して同じ2つの分野の作問(2問)をした.作問の様子をビデオで録画し,詳細な作間手順と作問時間を記録した. 3.実験結果の分析 作問ガイドラインを提示して作問させたほうが平均して3分程度作問時間が長かった.また,作問した学生8名とは異なる10名の学生に作成された問題を,平成22年度までに明らかにした問題の評価基準に基づいて評価してもらったところ,作問ガイドラインを提示後に作成した全問題のほうが,ガイドライン提示前の問題よりも完成度が高かった
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