本研究は、公的な機関(立法府、行政府など)や主権国家の法制度ないしは領域を超越して展開する「非公的」な政治空間に着目し、そこで繰り広げられる政治主体の営為を分析することで、今日の東アラブ地域政治の実態を解明することを目的とする。初年度にあたる今年度はこの目的を達成するための第一歩として、シリア、レバノンの政治主体そのものを把握する作業に重点を置き、主に以下四つの活動を行った。 (1)研究会合2回:2009年8月(ダマスカス)と2010年3月(東京)で開催し、研究代表者・研究分担者の研究進捗状況報告、収集資料・データの解析結果検証などを行った。 (2)現地調査3回:2009年8月に研究代表者がシリアを、同月に研究分担者がレバノンとシリアを、2010年2~3月に研究協力者がレバノンとシリアを訪問し、現地の研究者・有識者との意見交換および関連資料・データの収集を行った。なお8月には、現地の研究者・有識者を交えたかたちで第1回の研究会合を開催し、意見を交換した。 (3)資料・データ収集およびその解析:シリア、レバノンの公的・非公的な政治主体の営為に関する資料・データを現地調査とインターネット等を通じた日々の情報収集活動を通じて収集し、解析した。 (4)HPの作成:本研究の活動と成果の宣伝を目的としてHPを立ち上げた。 以上の作業を通じて、東アラブ地域、とりわけシリアとレバノンの政治主体の動静を包括的に把握することができた。だが本研究の主要な分析対象である非公的な政治主体に関しては、さらなる情報収集の必要性が再確認され、来年度以降、研究成果(中間成果)の継続的な公表とともに今後の課題となった。
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