本研究は、東京芸術大学の故・小泉文夫教授が1960年代から80年代にかけて収集した沖縄・奄美民謡の録音テープを、保存のためにデジタル化し、それらをアーカイブとして公開することの出来る環境を整備することと、これらの民謡を歴史研究に活用する方法を模索することを目的としている。研究期間の4年間に、録音資料・カセットテープ約1300巻のデジタル化を終了し、そのすべてを1台のハードディスクに集約した。映像資料については、オープンリールテープ27巻をDVD規格に変換して記録することができた。全資料の検索用データについては、録音・録画のメディアごとの台帳を作成した。以上の音声資料の一部に基づいて歴史的研究を試みた結果、30年あまりの間に、同じ集落でありながら、数多くの曲目が継承されていなかったこと、継承されている曲についても、演唱速度(テンポ)がきわめて遅くなり、ピッチも低くなる傾向があることが認められた。
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