研究課題/領域番号 |
21320131
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松浦 茂 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (60145448)
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研究分担者 |
中砂 明徳 京都大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (50237286)
村尾 進 天理大学, 国際文化学部, 教授 (10239478)
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キーワード | 清朝 / ヴラジスラヴィッチ / キャフタ条約 / 北京会議 / マカオ / アジュダ文書 / オランダ / ロシア |
研究概要 |
研究代表者である松浦は、研究協力者中村朋美とヴラジスラヴィッチ『中国の実力と現状に関する秘密の報告』の訳文を再検討した。また満族史研究会大会においてそれに関して研究発表を行い、ヴラジスラヴィッチがもとづいた史料と情報、それから本書の概要と意義を明らかにした。さらに『露中関係』やバントィシュ=カメンスキーの著書などを読解して、キャフタ条約締結に至るロ清両国の政治と経済の問題点を研究した。その内容については、今後論文にまとめて順次発表をする予定である。なお23年度には、「高橋景保『北夷考証』の成立と北方地理学の進展」などの論文を発表した。 研究分担者である中砂は、引き続きオランダ国立文書館が所蔵するオランダ東インド会社関係の史料と、ポルトガルに現存するアジュダ文書の解読を行った。そして「イエズス会の極東関係史料」を発表して、イエズス会関係史料の書誌学的に説明した。さらに23年度には著書1冊を公刊した。 研究分担者である村尾は、引き続き英語の史料と中国語文書を読解して、広州とマカオの関係と歴史的な意義を追求した。これらの成果は、今後順次論文にして発表する予定である。 研究協力者である中村は、主にロシア語文献を使って19世紀のロ清関係を研究した。「19世紀前半コーカンド・ハーン国も遣露使節とロシア帝国の中央アジア政策」は、19世になってコーカンド・ハーン国がロシアに対して、友好と通商関係の構築を目的に使節を派遣したのに対して、ロシアは基本的にはそれを受け入れながらも、コーカンド・ハーン国が清と対立した時期には、清との友好関係を維持するためにそれを拒否したことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者、分担者、協力者が、緊密な連携のもとに研究を進めた結果、それぞれが大きな成果をえた。たとえば代表者の松浦は、協力者の中村とともにロシア語史料を渉猟して、関連分野だけでなく東洋史全体の通説をくつがえす新しい認識に達しつつある。現在まで発表した論文は多いとはいえないが、それは事実をかためるために慎重を期しているからで、今後順次公表する予定である。分担者の中砂と村尾も、近いうちに論文を公表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究の連携をいっそう緊密化するために、研究代表者と分担者の会合をこれまで以上に頻繁に行う。 また21年度から始まった研究の成果を一般に還元するために、最終年度の今年秋にシンポジウムを開催する計画をもっている。そのときには分担者、協力者以外の研究者も招いて、発表を充実させたいと考えている。
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