研究概要 |
本研究の目的は,我が国における雇用環境や労働契約について,地域の違い,世代の違い,雇用形態の違いを重視した経済理論・実証分析を行い,その成果を労働政策提言に結びつけることである。平成23年度は,補助金交付申請書に記載した内容に沿って,以下の4点を実行した。 1,理論・実証研究を実施した。地域の違いについては,労働法の規制内容が国によって異なることに注目した国際比較研究として,離職時の競業避止義務を規制する法律の有無と役割についてのさらなる研究を実施した。 世代の違いについては,労働組合の加入行動や組合の成立,分裂などの要因を,我が国の人口構造と労働者が属する世代により説明する理論を構築した。また高年齢者の雇用継続制度が若年層の雇用に与える影響についての考察を行った。 雇用形態の違いについては,非正規雇用について,無期雇用でないこと,直接雇用でないこと,フルタイムでないことという要素の組み合わせに応じて,どのような労働者保護が必要なのかという観点から,労働者性の検討を行った。 2,外部講獅との情報交換,研究代表者と分担者の問の情報共有,そして進行状況のモニタリングを目的として,研究会を開催した。その際に,雇用労働分野だけでなく少し離れた研究領域の外部講師との討議も積極的に行うことにより,研究内容や政策提言内容の多面的な検討を実施した。また,労働法を専門とする外部研究者との定期的な政策検討会も実施した。 3,国内の学会・研究会で研究成果を報告し,討論者や参加者からのフィードバックを受けた。 4,学術論文の執筆や学会報告に加えて,研究成果の一部を政策提言として公表した(一般向けの雑誌記事等)。
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