研究課題/領域番号 |
21330106
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
内田 和成 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (70434264)
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研究分担者 |
嶋口 充輝 法政大学, イノベーションマネジメント研究科, 教授 (30051692)
石井 淳蔵 流通科学大学, 商学部, 教授 (50093498)
黒岩 健一郎 武蔵大学, 経済学部, 准教授 (00366840)
水越 康介 首都大学東京, 社会科学研究科, 准教授 (60404951)
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キーワード | 市場志向 / 関係性 / マーケティング |
研究概要 |
本研究は、リレーションシップ・モデルの下での市場志向型組織を捉えなおし、価値共創概念の精緻化を行うことを目的とする。われわれのみる限り、これまでRM研究において重視されてきた諸概念の多く(トラスト、コミットメント、顧客維持、あるいは顧客生涯価値)は、市場志向研究によって明らかにされてきた市場志向型組織によって優れて実現されるとともに、価値共創を帰結することによって新たな市場を切り開く契機になると考えられる。 これまでの研究成果として、(1)市場志向研究に基づく質問票調査を実施し、金融危機以降においてもマーケティングが重要な意味を有していること、また、その実現に当たってはブランド構築といった基本的な戦略の有効性が再認識されつつあることを確認した。また、(2)リレーションシップ・モデルの再検討では、Arndtの議論に遡って再検討が進められた。その結果、Arndtの議論においては、当時の概念拡張論争に関わる理論展開として関係性が提示されていた可能性が示されると共に、関係性概念の現在認識されている方向性とは別の可能性が当時存在していたことが示された。 これらの研究をもとにして、本年度はさらに本格的に関係性概念の再検討を中心に考察を進めた。これまでの研究より、関係性概念の進展は価値共創の概念に結びつくと考えられたが、そもそも関係性概念に焦点があてられることになったのは、それ以前のマーケティング・マネジメントや、単一の顧客概念を起点としたマーケット・オリエンテーションに対する批判的考察が進められたからであった。すなわち、本研究はマーケティング論全体の理論史と強く結びつくことが示された。合わせて、並行して行われている事例分析では、近年の新しいビジネスモデルに焦点を当て、新しいマーケティング論の可能性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、おおむね順調に進展している。市場志向、関係性、そして価値共創に関わる理論研究が歴史的に位置づけられ、最も重要な今日のマーケティング論の可能性について、ネット企業を中心に事例分析も進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は次年度で最終年度となる。これまでの研究を取りまとめ、総括的な分析を進める。分析に際しては、具体的に何を明らかにするのかを洗練させる必要があるが、これまでどおり、研究者それぞれが問題意識を共有しながら分析を進める。
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