特定の条件で処理したサファイア表面には疎水ドメインと親水ドメインが共存する。この相分離表面を用いて、タンパク質分子と固体表面の相互作用の解明を図った。まず、疎水ドメインと親水ドメインの液中での性質を明らかにするため、走査プローブ顕微鏡を用いてポリスチレン等のコロイドプローブとドメイン表面との吸着力を測定し、液中においても明瞭な化学状態の差が保存されていることを確認した。次いで、異なる電荷をもつタンパク質の吸着を系統的に調べ、選択吸着の第一の要因は静電相互作用にあることを明らかにした。さらに、吸着したのちは静電相互作用だけでなく、非可逆的な疎水性相互作用もかかわることを示唆する結果を得た。
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