研究課題/領域番号 |
21380083
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
加藤 範久 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (20144892)
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研究分担者 |
松原 主典 広島大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (90254565)
矢中 規之 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (70346526)
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キーワード | ビタミンB6 / 抗腫瘍作用 / 大腸がん / 遺伝子発現 / インフラマソーム / Cystatin A / NOX-1 / リンパ管新生 |
研究概要 |
1)ビタミンB6に応答する大腸がん細胞の遺伝子解析 ビタミンB6に応答する結腸がん細胞HT29の遺伝子発現について、DNA microarray、及びRreal-time PCRを用いて解析した。その結果、発がん促進に関わることが報告されている遺伝子として、CSTA(cystatin A)、DDIT3、p21、GADD45B、VDR、及びIGFBP1の発現増大を示した。一方、発がん抑制に関わるとされる遺伝子として、NOX-1の著しい発現抑制を見出した。同様な発現変動が結腸がん細胞Caco-2細胞でも見られた。これらの遺伝子の中でも特に、Cystatin AとNOX-1の発現変動が著しく、近年、新しい炎症性機構として注目されているインフラマソームとも密接に関連している。そこで、インフラマソームについても調べたところ、ビタミンB6がNLRP1、及びNLRP3の遺伝子発現を抑制することが見出された。これまでに、ビタミンB6の抗腫瘍作用の機構として炎症抑制の関与を示唆しているが、その炎症抑制機構の一端として、インフラマソームの抑制の可能性を示したことになる。 2)ビタミンB6摂取の大腸・腸内環境への影響の解析 前年度に引き続き、腸内の発がんに関連する因子について検討を行った。その結果、発がん促進因子S1P(sphingosine 1-phosphate)の濃度がビタミンB6摂取により減少することを明らかにした。一方、腸内細菌叢に関しては、意外なことにLactobacillusがビタミンB6摂取により減少していた。 3)ビタミンB6のリンパ管新生に対する影響の解析 これまでに、ビタミンB6の血管新生抑制作用を報告してきたが、Ex Vivoリンパ管新生アッセイ系を開発したので、それに対する影響も調べた。その結果、ビタミンB6がリンパ管新生を抑制する作用を示すことを明らかにした。
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