研究課題
前年度までの研究において、PI3Kγノックアウトマウスを解析することにおいて、PI3Kγ活性の抑制により、肥満状態でのみマクロファージの脂肪組織への浸潤とインスリン抵抗性が改善することが示された。また、これを肥満糖尿病の治療に応用するため、すでにPI3Kγ阻害剤として知られているAS-605240を、肥満動物モデルに投与し、やはり脂肪組織へのマクロファージの浸潤が抑制され、血糖値の改善が認められることが確認された。今年度は、PI3Kγの欠損やAS-605240の投与により、マクロファージなど免疫担当細胞への分化やその増殖が抑制されていないことを、骨髄初代培養細胞やマクロファージ細胞で確認し、肥満糖尿病治療応用の際の副作用が大きくないことが示唆された。しかしながら、AS-605240は、高用量では他のPI3Kアイソフォーム等に対しても阻害活性を持つ可能性があり、またClass 1PI3Kは、その構造に相同性を持っており、本研究の成果を実際のヒトへ応用する場合、インスリン作用や糖代謝に関与するClass 1API3Kであるp110αやp110βの活性を阻害しない極めて特異度の高い化合物が求められる。そこで本年度は、より特異的で阻害効果が高く、安全性にも優れたPI3Kγインヒビターのリード化合物の同定を目指した。Raw264細胞をMCP-1刺激した際のPIP3産生をPI3Kγ活性の指標とし、CSF-1刺激でのPIP3産生をClass 1API3K活性の指標として、化合物ライブラリーをスクリーニングを試みている。
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Cell Metab
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DOI:10.1016/j.cmet.2011.02.010
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