研究概要 |
本研究は,スーパーコンピュータのハードウェア資源の利用効率を上げながら,同時にコストを削減することを目的とした研究である.そのための方策の一つとして,ジョブスケジューラのパラメータを動的に最適設定にすることを目指す.すなわち,ジョブスケジューラのパラメータを状況に応じて動的に変更することによって,システムの利用効率を向上させ,さらに省コストのシステム運用ツールの構築を目標としている. これまでの我々の研究およびシミュレーションによって,ジョブスケジューラのパラメータを適切に変更することにより,利用効率が向上することや,ジョブの実行時間の長さのばらつきによって,パラメータの設定変更のタイミングを捉えることができ,それによって利用効率の向上が図れることが検証によってわかっている.しかし,パラメータの最適な設定を行うには,各ジョブの実行時間があらかじめわかっていることが望ましい.そこで,今年度は実行時間の予測および設定変更のタイミングに関する研究をおこなった.そこで,さまざまな統計的手法を用いて各ジョブの実行時間予測のためのモデル化を行い,ユーザの実行時間を予測する手法を検討し数値実験をおこなった.また,パラメータ設定の設定変更のタイミングに関する比較実験を行い,設定変更のタイミングとジョブの実行時間の関係についての分析などをおこない,これらを論文としてまとめ,学会等で発表した.さらに,大規模なシステムにおける省コスト運用のためのパラメータ最適化のために,分散制約プログラミングの適用と,そのための求解処理の高速化について検討した。
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