研究課題/領域番号 |
21500283
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
今野 良彦 日本女子大学, 理学部, 教授 (00205577)
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キーワード | 多変量解析 / 推測理論 / Stein問題 / 打ち切りデータ / ウィシャート分布 / 高次元データ |
研究概要 |
本研究課題は、高次元データの解析のために必要な統計解析手法の開発と最適性の研究を統一的な視点から行うことを目的としている.2011年度は、次の2つの研究を進めた。すなわち、(1)打ち切り変数と観測値変数に従属性がるようなデータに対する多変量正規分布に基づく解析法についての研究、および(2)行列値の多変量複素正規分布の平均行列に対する縮小推定量についての研究、である。 (1)観測値変数と打ち切り変数に独立を仮定した解析手法についての先行研究はいくつかある。しかし、先行研究で提案されているノンパラメトリック手法の妥当性は独立性なしでは保障されない。 従属性がある打ち切りデータに対して,母数モデルを仮定することにより、有効な推定手法を提案した。さらに、数値実験により、提案した推定手法の精度を検証した。この結果については論文発表をした。また、乗数中心極限定理を用いて適合度検定統計量の漸近表示を求めることにより、母数モデルの適合度検定等計量の棄却域を算出するための効率的なアルゴリズムを考案した。 (2)分散共分散行列が未知の場合の複素行列値多変量正規分布の平均行列の推定問題を不変2乗損失関数のもとで考察した。実数値多変量正規分布の平均行列の推定問題の先行研究結果を参照して、複素行列値多変量正規分布の平均行列の推定量の族である種の変換群のもとで不変なものを考えた。この推定量族のリスクを陽に求めることはできない。そこで、不変推定量族のリスク関数の不偏推定量を導出することにより、リスク関数の評価を可能にし、縮小型推定量を導出のための十分条件を得た。この成果については、チュニジアの研究集会で口頭発表した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2009年度から2011年度までに、本研究課題に関わる成果を3編の論文で公表した。
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今後の研究の推進方策 |
多変量複素正規分布の平均行列の縮小推定量に関する数値実験を進める。等質錐上の一般化されたウィシャート分布の期待値母数の推定問題を統計的決定理論の枠組みから体系的な研究を進める。
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