研究概要 |
昨年度までにSFK (Src famliy kinase)阻害剤(SU6656)及びSyk特異的阻害剤(BAY61-3606)が活性化T細胞膜によって誘導されるHMC-1ヒトマスト細胞の細胞伸展や遺伝子発現を抑制することを明らかにし、チロシンキナーゼが活性化丁細胞膜刺激によるマスト細胞の活性化に関与することが示唆された。そこで本年度は、抗リン酸化チロシン抗体及び抗リン酸化チロシンキナーゼ(Syk,Lyn及びFyn)抗体を用いて、マスト細胞におけるチロシンキナーゼのリン酸化による活性化を測定したが、活性化T細胞膜刺激で誘導されるSyk、Lyn及びFynの活性化は認められなかった。また、フィセチンによる脂質ラフトの形成抑制効果は認められず、フィセチンは他の作用機構でマスト細胞の活性化を抑制すると考えられた。そこで現在、NFkB及びMAPKの上流シグナルへの影響を検討している。また、各種フラボノイドの、活性化T細胞膜刺激によるHMC-1細胞活性化の抑制効果を検討した結果、フィセチンと同様にルテオリン及びアピゲニンで高い抑制効果が観察され、次いでケルセチン及びイソラムネチンに抑制効果が認められた。そこでこれらフラボノイドのうち、0.1%及び0.05%のフィセチン及びケルセチンを喘息モデルマウスに自由摂取させ、肺の遺伝子発現変化や肺胞洗浄液中の細胞数の増減などを測定することによって、アレルギー反応の抑制効果を検討している。
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