研究分担者 |
柳井 忠 新居浜工業高等専門学校, 数理科, 教授 (50220174)
高田 功 明石工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (30178389)
長岡 耕一 旭川工業高等専門学校, 一般理数科, 教授 (20280315)
冨山 正人 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 准教授 (70311016)
森田 健二 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 准教授 (60312196)
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研究概要 |
(1)高専の数学教材研究会の継続 昨年度は高専の数学の教授内容の精選とそれに適合したテキスト作成のための「高専の数学教材研究会」を立ち上げ,研究会を重ねてきた。昨年度までに,高専の第1学年から第3学年までの教育内容の検討を終え,ほぼ,その教材の全体像を整備することができた。今年度はこれを継続し,高専としてのカリキュラムの中での選択式問題の役割を検討していく。 (2)石川高専の第1学年における選択式試験問題の効果の検証 昨年度は1年間を通して,石川高専の第1学年を対象として選択式試験を実施し,その結果の分析を行ってきた。 その途中報告は,北陸四県数学教育研究(七尾)大会にて行った。しかし,この調査の目的にやや曖昧なところがあり,明確な結論には至らなかった。本年度はそれを踏まえてこの調査を継続することにした。その中で,クリッカーを用いた双方向授業の実践報告も行ったが,クリッカーの利用については,ハードウエアの面での問題があり,今後の研究の継続は難しいと判断している。 (3)高専のモデル・コアカリキュラムへの対応 昨年度末,高専機構によって高専の学習内容に関するモデル・コアカリキュラムが発表された。今後はこれに対応した学力が身についているかの検証が行われていくことは間違いない。そこで,この基礎学力の定着に選択式試験問題が有効であると考え,今後は,モデル・コアカリキュラムに即した選択式問題集を作成していく予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず,高専生の学力に関する全般的な傾向に関する調査は予定通り終了し,その結果は日本数学教育学会高専・大学部会論文誌に発表することができた。また,並行して行われている高専の教材の精選とテキストの作成はすでに第3学年までが検討済みとなった。石川高専では,平成22年度に第3学年での調査を完了し,昨年から第1学年での調査に入っている。本年度はそれに加えて,第3学年での基礎学力の定着を目的として,選択式試験問題を導入する予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度が研究期間5年間の研究期間の4年目に当たる。本研究の主要な目的は,選択式問題による基礎学力の定着であり,そのためにある限定したクラスの学生について選択式問題を実施し,学力の伸長や意識の変化を調査するという方針は継続する。ここで,学力の定着のためにもっとも必要なものが,学生の選択式問題に対する興味や達成感であろうと思われる。現在,研究を遂行する上で「学生にとって選択式問題は当初,私たちが予想以上に難しいのではないか」ということが問題点として浮かび上がっている。そこで,今後は,取り扱う選択式問題はその意図が明快で,適切な推論によって解きうるものとし,とくに,学生の達成感を涵養していきたいと考えている。
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