研究概要 |
本研究は、3年間の期間の中で、次の点を明らかにするものである。 (1)先進事例調査を通じて既存の方法論およびプログラムを批判的に乗り越える方法論を明らかにする。 (2)プログラム設計・開発・評価を通じて、本プログラムに求められる要件を明らかにする。 (3)授業での活用を通じて、実証的にプログラムの有効性を明らかにする。必要に応じて改善を行う。 映像メディアをどのように国語科の言語活動に関連させて授業をデザインしていけばよいのかについて,学習指導要領や市町村の教育課程に明記されている例はあまりなく,とまどう初等教育の教師は少なくない.そこで本研究では,国語科においての映像メディアの理解や表現についての関係性,系統性を提起するための学習内容や到達点を整理・検討し,授業設計のための指針を提供する. 22年度は、21年度からの継続課題として,「見ること」「見せること・つくること」領域の評価規準のカテゴリー化と到達項目の生成とカテゴリー間の分析を行った.また,新学習指導要領の小学校国語科三領域との関連について検討した. 下位項目や評価規準の内容も加味して,「見ること」「見せること・つくること」領域の到達項目を対応させた.これにより,内容の重点のちがいはあるものの,1項目をのぞいて対応させることができた. 23年度は,22年度に着手した「授業実施ガイドブック」「素材コンテンツ」の開発も行い,「見ること」「見せること・つくること」領域を中心とした四実践(新聞制作,ニュース番組制作,パンフレット制作,絵本を読み解く)について単元開発を行った.この実践は,Webサイトにて広く公開している.これら実践について,22年度までに生成した評価規準と到達項目に照らし合わせ,その妥当性も確認した. 本研究の課題として,「学習内容を実践するための研修の実施」がある.「見ること」「見せること・つくること」領域を意識していない多くの教師が,これらを意識して授業実践をデザインできるようになるには,その成果や着眼点・授業デザインの仕方などが理解できるような研修を実施することも重要な課題となる.そのためには,いわゆる講演を受講するような研修だけでは不十分だと考える.そこで,「見ること」「見せること・つくること」領域を国語科の授業場面において意識できる内容を核に実技体験や模擬授業(ワークショップ式)を含んだ研修を企画,実施する必要がある.その上で,どのような効果があったかを今後調査し,改善していきたい.
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