本科研では、ミャンマーから労働目的でタイヘ入国する人々について国境の町メーソットで、その社会ネットワークの広がりと文化再編の状況を調査することが主たる目的である。初年度は、まずそのための制度的な基盤の理解に向けて資料収集とインタビュー調査、そして今後の調査のための予備調査・ネットワーク形成が目的であった。 9月と11月に二度渡航し、チュラーロンコーン大学アジア研究所アジア移民研究センターやタマサート大学で資料収集を行った。また、バンコクにオフィスをもち国境にて支援活動を行う国際NGOとも連絡をとり、調査への協力の可能性を打診した。メーソットヘ赴き、今後の調査の主たる対象を同定し、必要な協力を得るべく、同地のNGO組織、保健衛生や教育に関わる団体、学校や、移動労働者のコミュニティを訪れた。また、現地ではメーソットで調査を展開しているタイの研究者とも幾度か会合をもち、あるいは、同行しながら調査を始めることができた。 このほか、国内で、移動労働に関わるセミナーを開催した。一度は6月に、若手や大学院生を中心に現在同テーマで調査を続ける研究者によるセミナー、もう一度は、1月に、海外からタイ人研究者を招き国際ワークショップに参加した。現在タイにおける移動労働をめぐるテーマの広がりなどを把握することができた。
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