平成21年度は、9月にタイ・バンコクでタブノキを製粉し日本に輸出している業者に対するインタビューを実施した。その結果、タブノキ樹皮のほとんどは、ラオスから仲買人を経由して仕入れていることが明らかになった。しかし、ラオス国内の仲買人の情報に関しては、得られなかった。 そこで、同じく9月、ラオスでタブノキの仲買と採取に関して調査を実施した。ラオスでは、首都ヴィエンチャンに住む仲買人が、農村部(ヴィエンチャン県ヴァンヴィエン郡)でタブノキの植林を行い、農民から採取した樹皮を買い取っていることが明らかになった。住民は仲買人の指導を受けながら、水田脇などの使われていないわずかな土地にタブノキを植林して、樹皮の1/3だけを採取して木を枯らさないように工夫し、持続的に樹皮を採取している。しかし、植林してから3年しか経過していないため、まだ採取量は少ない。首都近郊以外には、ラオス北部ポンサリー県ブンタイ郡に、約10年前からタブノキを植林し、その樹皮を住民から買い取って、中国に輸出している仲買人が存在する。しかし、今年度は詳細な調査をする時間的余裕が無かったため、次年度に詳細な調査を実施する予定である。 ラオスの場合、調査で農村部に入るための手続きが非常に難しいが、今年度は、カウンターパート機関であるNAFRI(ラオス国立農林業研究所)と共同研究について何度も協議を重ね、12月に研究代表者が所属する名古屋大学大学院環境学研究科と研究教育協定およびMOUを締結することができた。研究遂行上、非常に大きな成果である。次年度以降の調査手続きが、スムーズになることが予想される。
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