研究概要 |
平成22年度は,8月にラオス北部ルアンパバーンと首都ヴィエンチャンでタブノキ植林および採取状況について調査を実施した。その結果,北部よりも南部で地域住民の現金収入源としてタブノキが植林され,主としてベトナムおよびタイに輸出されていることが明らかになった。 また,国内産地である宮崎県都城周辺の調査については,採取が行われる冬季の調査を予定していたが,新燃岳の噴火によって,調査実施が不可能になってしまった。したがって,8月の調査結果でラオス南部のタブノキ採取の情報を得たので,当初の予定を変更し,3月にラオス南部カムワン県,ボリカムサイ県,サワンナケート県を調査した。その結果,サワンナケート県においてタブノキ植林が2000年あたりから焼畑による陸稲栽培の代替手段として積極的に導入され,ベトナムに輸出され始めたことを明らかにすることができた。南部でのカジノキの樹皮採取方法は,昨年調査したラオス中部の方法と異なっていた。中部では,樹皮の1/3だけを採取して木を枯らさないように工夫していたが,南部では,植林後に樹皮が採取できるほどの大きさになった樹木(約7年生)を全て伐採するという方法であった。一見,持続的ではないと思われたが,伐採した切り株から自然に萌芽して,7年後には,1本の切り株から4~5本の樹木が再生する。農民はこれまでの経験から,このようになることを分かっており,この方法を採択している。なお,樹木の生長を促すために,1本の切り株からの萌芽を3本までに抑えるように剪定を実施していることも分かった。ラオス南部におけるタブノキ採取の方法に関しては,土地利用や採取方法,そして流通などを次年度に詳細な調査を実施する。
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