本研究はフランクフルトの倫理思想と公共圏に関する理論を課題とした。フランクフルト学派第1世代(ホルクハイマー、アドルノ、ベンヤミン)における倫理思想の核心を「いたみ(痛み/悼み)」という語によって総括、抽出し、この「いたみ」の思想の形成に関わる個別的な論点に関する研究を進めた。また、〈コミュニケーション論的展開〉以後のフランクフルト学派の思想、ハーバーマスの討議倫理、ホネットの承認論に関しても考察し、フランクフルト学派の新たな理論的展開においても、第1世代のいたみの思想が重要な寄与をなしうることを明らかとした。
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