研究概要 |
本年度の最大の成果は,フランス国立図書館ディジタル書籍刊行部門Gallicaの提供するRevuede Parisのpdf版を印刷・製本したことであろう.全体で33分冊,約18000頁に達する膨大な規模のものであるが,各巻の目次をディジタル化してあるので,検索はかなり容易であり,同誌初出で未刊行の論考・論説に関して,今後の利用がおおいに期待できる. データベース構築に関しては,高性能のパーソナル・コンピューターを導入,複数のデータベース・ソフトを比較検討中である. 諸般の事情により,研究分担者・海老根の現地調査は中止のやむなきに至ったが,その分の予算を資料探索・収集に充当することが可能になり,第二帝政下フランス社会の諸相にわたる相当量の資料を一定程度システマチックに収集できたのは,かえって幸いであり,Revue de Parisと合わせて,本研究の趣旨に沿って活用したいと考えている. 準備作業に割いた時間と労力が予想外に多く,年度末までに刊行に至った論考のないのがまことに残念であるが,篠田は19世紀の鉄道の発展に関する考察の準備作業としてエッセー一篇を執筆,一方海老根は本研究のテーマに即して,文学における産業礼讃とそれに対するボードレール等の反応をテーマとする論文を執筆,これは2010年中に,研究誌L'Annee Baudelaireに掲載される予定である.
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