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2010 年度 実績報告書

量化表現解釈と言語心理学的研究-統語論と意味論と語用論のインターフェイス

研究課題

研究課題/領域番号 21520459
研究機関福岡大学

研究代表者

伊藤 益代  福岡大学, 人文学部, 准教授 (10289514)

キーワード言語獲得 / 削除現象 / LF再構築 / stripping構造 / 裸名詞句 / implicit variable / 束縛変項 / sloppy読み
研究概要

22年度後半から開始している脳の言語処理過程に着目したonlineのERP実験研究に専念するため、まず、2つのoffline実験をとりまとめた。日本語児および同大人を対象とした、格標識付stripping構造削除文等を用いた実験研究の論文は採択され、掲載待ちである。同対象による、「だって」を含む文章の含意計算にかかわる論文は投稿中である。
具体的には、前者の論文では、格標識付stripping構造が、Fukaya & Hoji(1999)等や私の主張通り、LFでの統語的コピー操作を伴う表層照応の例であるならば当然予測される分布が観察されるかどうかを、3要因・変数((1)裸名詞句がrelational vs. non-relationalであるか、(2)裸名詞句vs.「自分」を伴った名詞句であるか、が関わった場合について検証した。
主な結果として、(1)については、大人も子供も同様に、裸名詞句がrelationalである場合、sloppy解釈をすることが明らかとなり、裸名詞句がnon-relationalな場合とは統計上有意な差が見られた。このことにより、Partee(1987)の主張するimplicit variableの考えに経験的証拠を与えることが出来た。(2)については、大人も子供も同様に、「自分」を含む名詞句が関わる場合とimplicit variableが関わる場合において有意な差もなく、束縛変項解釈をすることができた。また、本結果は、先行詞に量化詞が関わる場合もそうでない場合も同様であった。
ERP実験については、格標識付stripping構造削除文(および統制文)を用いて、パイロット実験を行った。統制文の場合と比較すると、刺激文呈示の場合、頭頂部で陽性電位が潜時800ミリ付近で見られた。これが統語的削除の逸脱にかかわる、潜時が遅いP600であるという主張ができるかどうか、また、なぜその遅延が起こるのかについて、現在被験者を増やして吟味中である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] The bound variable interpretation in child Japanese : The implicit variable, the anaphor zibun and stripping structures with case mazkers2011

    • 著者名/発表者名
      Ito, Masuyo
    • 雑誌名

      Syntax

      巻: (掲載確定)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sloppy identity readings in Child Japanese2011

    • 著者名/発表者名
      Ito, Masuyo
    • 雑誌名

      ことばの事実を見つめて:言語研究の理論と実証

      ページ: 214-227

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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