本研究の目的は、ハワイ最初の和太鼓グループであるハワイ祭太鼓の民族誌を著すことであり、研究方法として文字資料の収集と分析、映像音響資料の収集、演奏活動の参与観察、および担い手へのインタビューをおこなってきた。 最終年度にあたる平成23年度には、これまでの補充調査をおこない、大部分の資料収集が終了した。また演奏活動の参与観察としては、グレイト・アロハ・ランのストリートでの演奏や、他の和楽器とのコラボレーションによる小規模なコンサートを観察しつつ、これまでの交流や創作方法についてインタビューすることができた。 演奏曲のレパートリーとその練習について、(1)ハワイ日系の象徴的な歌℃ある<ホレホレ節>、(2)日本、米本土のグループの曲を許可を得て演奏しているもの、(3)ハワイ祭太鼓が創作したオリジナル曲、の3種類がある。その中の数曲について詳しく調べることができ、新しい曲を創作するにあたっても、材料としているリズムは、様々な音楽からかなり自由に取り入れている点が明確になった。 日系であることをアピールする曲、ハワイの人であることをアピールする曲を創作しながら、日本、北米のグループとも広く共有できる和太鼓の表現をもつことにより、様々なグループやジャンルとのコラボレーションをやりやすくしている点が明らかになった。
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