フランス(EU)及び日本の経済成長に関する60年間にわたる産業連関表データを用いて「持続可能な知識産業成長モデル」が開発された。このモデルを用いてシミュレーション計算を行った結果、(1) EUのリスボン戦略に使われた知識社会構築という政治目標が、域内市場統合政策の帰結としてフランス(EU)においては持続可能な経済成長という具体的政策成果に結びついたこと、(2)日本においては1960年代から知識産業の高度化が産業構造ビジョン政策として展開されてきたが、知識の知識による生産を経済活動として扱うための高度な地域市場統合政策の欠如により、1990年以降の新しい科学技術立国政策の経済成長に対する寄与はフランス(EU)と比較して小さかったこと、(3)知識産業成長による二次エネルギー中間投入係数の増大傾向が日・フランス(EU)の両地域で最近顕著となってきていること、一方で、温室効果のより小さい電力・都市ガスへの転換が同時進行中であることが観察された。
|