近代化過程におけるイギリスと日本の市場統合と生活水準・制度・技能との関係について、新資料の収集・整理を基礎に、研究を進めた。また、時系列分析などの、比較的に新しい方法を用いて分析を行った。イギリスに関しては、近代部門の熟練工である機械工の労働市場統合につき、全国的な賃金格差収束過程が、労働移動のような市場における変化と、全国的な団体交渉制度の形成などの制度的変化によって説明されることを明らかにした。また、日本に関しては、建設部門の熟練工である大工の労働市場統合の中心が、明治期後半から、西日本から東日本に移動していることを示し、それに対する制度的対応を明らかにした。
|