研究課題
近年、情報システムが企業文化を含むデザインと相互作用し、その結果が業績に反映されるという認識が萌芽しつつある。これまでに情報システム投資と業績との関係に組織特性を考慮した評価枠組みはモデル化されているものの、海外子会社を対象にした経験的研究は乏しい。本研究はこの点に着目し、業種特性、組織特性を考慮した情報システムの海外子会社への適合性とそれがマネジメント・コントロール・システムに与える影響を計測する評価指標を検討し、提示することを目的としている。それをふまえて、当年度は日本企業のアジアにおける海外子会社の中から1つの拠点について調査を行った。前年度までの5拠点と合わせ、調査対象は合計6拠点となった。なお、これらの拠点は同一の企業グループに属している。現地訪問時には、海外子会社の日本人幹部に対して組織及び情報システムに関するインタビューを行った。その結果、日本の親会社からコントロールを受ける一方で、自律的な企業行動や現地化への志向が観察できた。これは前年度までに調査を行った拠点と共通することである。その一方で、同一企業グループであっても、事業内容、顧客、当該国の法規制、労働事情などの内外の企業環境が情報システムを規定し、さらにマネジメント・コントロール・システムの相違をもたらしていることも観察できた。本社の経営戦略と海外子会社の経営戦略がすでに立地環境条件により変化し、これに対応する製品/市場が多様化しているため、経営組織も環境に対応し、情報システムも経営組織に適合する必要がある。このため、海外子会社における情報システムは、経営組織に適合し、しかも弾力的で比較的安価なシステムを採用していることが判明した。
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原価計算研究
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