本研究は、古澤と我々が40年余りにわたり継続してきた2つの母子関係の形成過程に関する縦断的研究(シニアグループ、ジュニアグループ)であり、3年間の研究期間内の目的として4点をあげているが、最終年度である平成23年度は以下の3点について検討した。 (1)9名のスタッフの語りに基づく自伝的記述を中心に昨年度にまとめた冊子をシニア・ジュニアの子どもにも配布し、スタッフの体験について、子どもたちと共有した上で、生涯的縦断研究者、および中里キャンプスタッフが一同に会した合同ミーティングを実施した。子どもたちにとって、現在の仕事や子育てにおけるHRL体験の影響について明らかとなった。 (2)シニアとジュニアの子どもと、両グループの母親、生涯的縦断研究者、および中里キャンプスタップが一同に会した合同ミーティングを実施し、特に親の立場から我が子がHRLに参加したことによる出会い、親子としての体験、そして母親自身の人生への影響について語りによる意味づけを行った。 (3)中里キャンプの旧スタッフ2名について面接調査を実施し、当時の体験について振り返り、現在の自分への影響について語りを通して吟味し、HRLから物理的に離れていても心理的には繋がっており、子ども観、臨床観の基盤となっており、その内容は深化されていくことが明らかとなった。 昨年度から今年度にかけ行った研究成果について、日本発達心理学会第23回大会においてポスター発表を行った。
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