研究概要 |
本研究は、感情労働における感情管理が労働者に与えるネガティブな影響に着目し,そのプロセスの解明を行うこと,ならびに,感情の開示という視点に基づいた具体的な対処方略の検討を行うことを目的としている。 今年度は,本研究において新たに提唱している"副次的感情(感情労働に伴って,帰宅後や休日等に生じる二次的な感情経験)"の実態とその影響について,次年度以降の実証的な調査と実験の実施に先立つ情報収集と基礎的な検討を実施した。 具体的には,日本感情心理学会第17回大会(徳島大学)に参加しポスター発表を,また,ベルギーにて行われたISRE(International Society for Research on Emotions)2009年度大会に参加しポスター発表を行い、国内外の感情労働研究者,感情心理学研究者との議論を行った。特に,ISRE2009年度大会においては,感情労働プロセスにおいて,副次的感情がバーンアウトに及ぼす影響に着目することの重要性を提唱するプレゼンテーションを行い,海外の研究者からの批判や示唆を受ける機会を得た。これら国内外の研究者からの情報収集と議論をもとにして,今後の研究計画の精緻化を行った。 以上の情報収集と議論を踏まえ,今年度は,副次的感情による中期的影響を実証的に明らかにすることを目的として,インターネットリサーチを用いたパネル調査(2回にわたる縦断調査)の設計を行い,第1回目の調査を実施した。調査は有職社会人300名を対象とし,実際に業務中の感情管理経験を行っている者から回答を収集した。なお,第2回目の調査は、次年度(平成22年度)5月に実施予定となっている。
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