研究概要 |
本研究の目的は,小学校・中学校・高等学校の新学習指導要領(算数・数学)において充実された統計の指導が現状で指導教材や指導法が共有されていない実態を受け,諸外国のカリキュラム・教科書・統計ソフトを収集・検討しながら,日本のカリキュラムに合った統計ソフトの開発,そして,教材開発と実践を行い,その成果を広く公開することにより学校現場に寄与することである。平成23年度は,主として以下の点に関して研究を進めた。 1,新学習指導要領の移行期間に当たるため,22年度末に行った中学校第3学年の教師対象の「統計指導に関する実態調査」を発送・回収し,集計・分析を行った。 2,教科書会社(6社)の中学校第3学年の移行措置資料(補助教材)における「標本調査」の単元の記述について,教材の内容・量・配列やコンピュータの使用状況などを分析・比較し,考察を加えた。 3,オーストラリアの現地調査を実施し,発表されたナショナルカリキュラムにおける「統計」の内容,対応する新教科書の動向,公立小学校での聞き取り調査を実施した。 4,統計ソフトの開発するために,授業での指導を考えた学校現場からみた操作性,数学教育及びソフトウエア開発者の見地からみた専門性などの視点から統計ソフトの仕様について検討した。これらの検討から,制作した標本調査ソフトstatsmplのVer.1.1を作成し,さらに,箱ひげ図ソフトstatboxを開発してweb上に公開した。 5,日本科学教育学会・年会(平成23年8月25日)において,自主企画課題研究「初等・中等教育における統計的思考力を育成する実践研究と今後の展開へ向けて(2)」を企画し,「統計指導の実態」「児童・生徒の統計的思考力の育成」「コンピュータの利用」等について情報を共有した。
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