研究概要 |
前年度に引き続き,数論的関数の総和に現れる誤差項を含むディリクレ級数や積分について研究をした.平成22年度は,特に一般約数問題やガウスの円問題の場合を詳しく考察し,離散和と連続和の差,多重ディリクレ級数など様々な結果を得た 一般約数問題における誤差項を含む積分を,チャウラーワールムの和を用いて,非常に正確に表現することができた.位数が2以上のチャウラーワールムの和が出現するが,特に重要なのは位数2のものである.この上からの評価について,チャウラとワールムの予想が成り立つことが現時点では証明されておらず,知られている結果もそれほどよくはない.我々は指数対の理論を適用し,位数2のチャウラ-ワールムの和の上からの評価を,大きく改良することができた.しかしそれでも予想には届かないことに注意しておく.更に離散和と連続和の研究を続け,それらの差を,チャウラ-ワールムの和を含むほぼ漸近展開に近い形にまで持っていくことができた.その応用として,誤差項の2乗平均及び2乗和について,知られている結果の精密化や,新しい結果を得ることができた ガウスの円問題の誤差項を含む積分の研究では,出現する和を4を法とする1と3の剰余に分け,約数問題において対応する結果と同等の結果を得た.円問題と約数問題はおおよそ同じものとみなされがちであるが,当該の問題においては,円問題の方が難しく,それ相応の工夫を必要とした.また円問題の誤差項を含む2重ゼータ関数についても,2変数の関数としての非自明な解析接続可能の結果を得た
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