研究概要 |
今回の研究課題は「数論的関数とcode理論」「剰余位数の分布問題」の2つであるが、二番目のテーマの方は昨年度までの研究でほぼ期待していた結果を得たため、今年度は第一のテーマに研究を絞り、交付申請書には三つの問題を記した。 1「数論的関数-特定のcode」の対応関係が、どの範囲まで拡大できるか? 2 Gray codeと関係する数論的関数は「周期性」「zero-sum性」「対称性」といった特殊な性質を持っていた。これを更に精密化し、codeと関係した数論的関数の特徴付け問題を考えたい。 3 誤り訂正符号等の実用的な符号理論と、我々の「数論的関数-code対応」の係わりを調べる。 このうち、1については大きな進展があった。「ある種の複雑な数列は、適当なオートマトンを設定することによって生成できる」ことは以前から知られていた(例えばAlloche-Shallit著,『Automatic Sequence』,Cambridge, 2003出版)。その代表的な例として「一般paper-folding sequence」が有名であるが、この数列が我々の「数論的関数-特定のcodeの対応関係」と結びついて、gray codeの場合と似たような構造を持つことが分かった。オートマトンと数列との関係は、例えば超越数の理論等とも関わりがあって、それ自身が興味ある分野であるが、我々の「数論的関数-特定のcodeの対応」がそれと繋がったことで、今後はオートマトンも視野に入れた研究になることが期待される。
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