研究概要 |
平成22年度は、連続体とその部分集合を組合せ論的集合論や記述集合論の観点から調べた。特に、自然数全体の集合ωのベキ集合P(ω)を有限部分集合の族finで割った商ブール代数P(ω)/finとそれに類似した集合論における商構造の組合せ論的性質に焦点を絞って研究を行った。 この研究テーマの一部として、Yurii Khomskii(アムステルダム大学、オランダ)との共同研究で、ω上の定義可能なほとんど交わりがない族(almost disjoint families)の構成を調べた。特に、Hechler強制法などのdominating実数を付け加える強制法とその反復法によって保存される、〓_1個の完全な(perfect)ほとんど交わりがない集合からなる極大なほとんど交わりがない族(m.a.d.family)が存在することを証明した。つまり、bをunbounding numberとし、a(Borel)をその和集合がm.a.d.familyとなるようなボレルなほとんど交わりがない集合の族の最小の濃度とするとき、a(Borel)<bの無矛盾性を得ている。また、このm.a.d.familyを構成可能集合のクラスLにおいて構成すると、Σ^1_2のm.a.d.familyの存在がb>〓_1と無矛盾であることを示しており、FriedmanとZdomskyyの問題を解いた。 研究の計画通り、科学研究費補助金を主に海外研究協力者との議論や共同研究を行うために必要である旅費として使用した。例えば、上記のKhomskii氏との共同研究をアムステルダム大学訪問(6月)とOberwolfach(ドイツ,1月)研究集会の際に行った。
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